『まんがタイムラブリー』誌上にて連載されていた『会計チーフはゆーうつ』。この漫画が終わったときには、ああひとつの時代が終わったなあと、そんな気持ちになったものでした。なにを大げさなと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、けれど私にとってはこの漫画は馬鹿にできない大きな位置を占めていまして……、それは私の四コマを読みはじめた頃にまで遡ります。
私が四コマを読みはじめるきっかけとなったのは千葉なおこの『OLパラダイス』であったのですが、この漫画が連載されていたのが『まんがタイムラブリー』。そしてラブリーには『会計チーフ』が載っていて、そうなんですね、四コマ読みとしての私の遍歴はこれら漫画に始まったのです。この頃はまだラブリーしか読んでいなかったので、私にとってはラブリー掲載作がすべてでした。はたしてどんな漫画が載ってたっけ、思い返すと、そのどれもがずっと以前に終わってしまっている。そんな中わずかに残っていた漫画もあったのですが、『ソーセージ☆まーち』、『会計チーフはゆーうつ』と立て続けに終わるのを見て、ああ本当に終わったと、そんな風に思ったのです。
これら漫画の位置づけは、正直なところ私にはよくわからないのです。これら以前に私の知るところの四コマ漫画というと、植田まさし、いしいひさいちなどが関の山。そうしたオーソドックススタイルに対し、可愛さの前面に押し出されたラブリー掲載作は異色であったのかも知れないと想像はしながらも、けれど私にとってはこれらラブリーに載っていた四コマが四コマのスタンダードであるのです。刷り込みってやつかも知れません。けれどたまたま読んだ雑誌の、風変わりなOL広田さんの洗礼をうけて広がった四コマの世界。毎回、これといって状況が変わるでもない、はっきりいって繰り返しの日々の中、お定まりのお約束で動いているような四コマが面白かったのは間違いなくて、その後ストーリー四コマがはやり、またきらら系が台頭するようになってきても、変わらずそこに『会計チーフはゆーうつ』があった。読むことができたというのは大きな意味があったのです。
少なくとも私にとっては。
癖の強いOLに振り回される、ちょっと駄目な上司。『会計チーフはゆーうつ』を説明するにはこれだけで充分かと思います。どじな上司、それに激しく突っ込むOLたち。けれどそこにはちょっとした信頼関係もあって、なんのかんのいって仲良くやっていますという、そういう漫画でした。けれど、当初は間違いなくそのパターンの繰り返しであったのが、長く続く間に人間関係も変化してきて、キャラクターに肉付けがされてきたとでもいいましょうかね、そしてついには恋愛にも発展して。正直、読みはじめた頃にはこんな展開になるとは思ってなかった。変わらない日常が変わらないままに続くんだと思ってた。変わらないままに終わるんだと思っていたんですが、けれどそれがこんなにも大きく舵を切って大団円ですよ。まあ、長かったと思います。引っ張りすぎた嫌いもないではない。でもね、それでもひとつの区切りどころではない大きな区切りを付けて、終わって、その終わり方があまりにもダイナミックだったからさ、そうかあ、終わったんだなあ。あの、慣れた日常にはもう戻ることはないんだなあと、喜ばしく思いながらも寂しさ感じるところも少々、有り体にいいますと感慨深いのです。
蛇足、書いとこう。私は気のきついボブのOL、中山有里子が好きでした。けど、大崎も好きだし、沼ちゃんも好きだし、もちろんチーフも好きで、だからなおさら、このあんまりにもうまくまとめられた終わり方、誰も不仕合わせにならない終わり方にほっとしてるんだと思うんですね。でも、なかでもチーフと中山はよかったね。こうなるしかないって感じでしたけど、だからそうなってよかった。他の終わり方なんかないっていう、そんなところに、満足してるというとちょっと違うんだけど、ああ落ち着くところに落ち着いたんだなあ、みたいなそんな気分です。
- おーはしるい『会計チーフはゆーうつ』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,1999年。
- おーはしるい『会計チーフはゆーうつ』第2巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2001年。
- おーはしるい『会計チーフはゆーうつ』第3巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2002年。
- おーはしるい『会計チーフはゆーうつ』第4巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2003年。
- おーはしるい『会計チーフはゆーうつ』第5巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2004年。
- おーはしるい『会計チーフはゆーうつ』第6巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2006年。
- おーはしるい『会計チーフはゆーうつ』第7巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2007年。
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