2007年7月17日火曜日

夢を忘れない

  私が沢田聖子の『夢を忘れない』という歌を知ったのは、アニメになった『赤ずきんチャチャ』のサウンドトラックにこの曲が収録されていたから。なんだ、アニメかなんておっしゃらないでください。私は常々思っているのですが、アニメには思わぬ名曲が多い。それも、サントラにのみ収録されるような、 — まあ有り体にいえば、レコード会社の絡みやなんかで収録されるような場合もあるらしいんですけど、けれどそうしたものが思わぬ輝きを放つことがあって、『夢を忘れない』もそんな一曲なんじゃないかと思っています。

四分あまりと短い歌です。女性ボーカルの透明な歌声が伸びやかに、爽やかに、そして少ししめやかに、けれど聴けば頑張ろうと、そんな風に思える歌です。正直、これは応援歌だと思う。夢に、今に、生きることに疲れてしまった、そんな人にこそ届くのではないか。くじけてしまった心を、頑張れなんていうように無理に後押しすることなく、不安や辛さがあってもきっと越えていけるよ、大丈夫だよと、はげましてくれる、力づけてくれる。そんな歌なのです。

私は疲れたとき、くじけそうなとき、ことさらあえて音楽でもって心を支えようとはしない、そういう冷めたところのある人間なのですが、けれど日常に音楽を携帯して聴いている、シャッフルまかせに聴く音楽、思いがけずこの曲が流れてくる。そうすると、はっとして心が立ち止まるような思いがします。どことなく厳粛で、けれど許されたような優しさに包まれて、そして私は自分が今疲れていたと、無理に意固地に頑張ろうとしてたと気付くのです。そんな経験はこれまでに何度もあって、一息もつかずうつむいて一心不乱に進んでいるみたいな、そんな重苦しさに光の差すような気がして、ああ、なんていい歌なんだろうって思うのです。そして、自分はまだ大丈夫だって、しなやかさを取り戻した心で、晴れやかな気持ちをともに再び歩いていこう、一歩一歩を、その瞬間をこそ大切にしてと思えるようになるのです。

だから、私はいつかこの歌を自分でも歌えるように練習しようと思っていて、自分が人になにかをなせるかなどと思うことは、それ自体がおこがましいことですが、けれどそれでも勇気づけたい人っているじゃないですか。うつむいた人、辛さ苦しさに押しつぶされそうになった人、もう歩き出せなくなってしまった、けれど本当は誰よりも前向きに生きたい人がいるというときに、私にはなにもいうことができないから、なんの助けにも力にもなれないから、だからせめて歌の力を借りてでも、勇気づけたい、元気を出してとはげましたい。きっと、大丈夫だよと、気休めなんかじゃなくて、心からの応援をしたいと思うことがあるのです。

そして、この歌を歌うことは、なにごとにもくじけてしまいがちな私自身も救うのではないかと、そんな風に思っています。また歩き出せる、自分は大丈夫と、そう思う力を注いでくれる歌であると思っています。

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