『らいか・デイズ』が始まって、もう三年にもなろうとしているということに驚きました。現在『らいか・デイズ』は二誌連載だから、隔週ペースで進んでいるのだけれど、それでも一回のページ数が多くない四コマ漫画です。少しずつ、少しずつ変化しながら、ゆっくりと進んでいく。ふと気付くともう何年も経っていて、驚きますね。好調に巻を重ね、ついに第5巻。103ページに収録の「補う力」、竹田の父が漏らした言葉になんだか似た感慨を重ねるといったらおかしな話ではあるのですが、けれどこんなにも続いて、らいか含む子供も大人もだんだんとその人柄をあらわにし、変わってきながら、なお読者に受け入れられている。実際『らいか・デイズ』の人気は屈指なのでしょう。その理由は私にもわかるような気がします。
以前にもいっていましたっけね。私は漫画としては、やっぱり当初の硬派なスタイルの方が好きなのです。漫画としてのテクニカルな部分がとんがっていたといったらいいのか、常人離れした小学生らいかを主人公に、きりきりと漫画が動いていた。機能美みたいなものが感じられたんですよ。必要要件ぎりぎりまでそぎ落とし、研ぎ澄まされたような表現があって、それが小気味よかった。らいかは今よりもずっとスーパーで、だからその分孤独であったように感じられて、そういう意味では今の『らいか・デイズ』の方が、読んでいて穏やかであると思います。相も変わらず小学生らしからぬ三人 — らいか、蒔奈、そして竹田 — でありますが、それぞれにスーパーな部分を表に活躍しつつも、それぞれに子供っぽく、あるいは弱くいたらない部分も見せるようになって、そこがうまくバランスがとれているところなんだと思います。そうした弱い部分を支え合う人の交流みたいなところ、人情とかいったらいいかね、そういうのがひしひしと伝わってくるような、そういう漫画。読んでいて、やっぱり面白いんだよなと思わせる力のある漫画だと思います。
でも、人によってはこの人情っぽさみたいなのがあんまりに表に出すぎるところとか、苦手にしたりするでしょう。あるいは私みたいに、あんまりに恋愛恋愛したところが出過ぎると鼻白むような人もあるでしょう。その分かれ目は人によってそれぞれでありましょうが、少なくとも私にとっては、今の『らいか・デイズ』は充分許容できる範囲にとどまっていて、いや、充分というのはどうだろう。実は危ない。あと数歩を進むと、私の許容を越えてしまうかも知れないという危ういくらいのところまで話は進んでいるんだけれども、でもその危うさを感じさせながらも、読めば面白い。毎号の連載を読んでもそう、こうして単行本になってみても同じで、もしかしたら受け入れがたさを感じるのではないかと怖れながら読んだ第5巻でしたが杞憂でした。
読んでみて思った。『らいか・デイズ』に関してはまだまだ大丈夫だ。私は、あの子ら、そして先生、親たちを含むこの漫画の登場人物が大好きだと、はっきりいうことができます。子供も大人も、その時々、自分なりの楽しみや不安、悲しさ、寂しさなんかを抱いているということが、ちょっとした狭間に見えてくるような漫画で、そしてそうした感情は人と交換しあうことで、きっとよい方向に向かうのだという、 — 前向きに生きようというようなメッセージ性が感じられる漫画なのだなと、これが私の最初にいっていた、私にもわかるような気のする理由です。
『らいか・デイズ』がいつまで続くのかわからないけれど、この巻を読んでみた感触としては、きっとこれからも好きで居続けることができるという感じです。その、越えそうで越えないバランス感覚みたいのとか、もうちょっといくとと説教くささ、あるいはやり過ぎというえぐみみたいなのが出るところを踏みとどまって、あるいはエクスキューズをはさむことで押さえてしまう。そういうところが感じられたから、私は安心して読んでいけるなと、そんな感じです。
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