2007年4月21日土曜日

ひだまりスケッチブック — ビジュアルファンブック

 先日、『ひだまりスケッチブック』を買いにいこうと思ったといっていましたっけね。私は『ひだまりスケッチ』の漫画は結構好きで、2巻限定版も手に入れたし、アンソロジーだって買ったのですが、けど、『ひだまりスケッチブック』はなんとなく買いそびれていたのです。理由は、 — やっぱり経済的なもんでしょうか。最近、KRコミックスがやたらと出るようになりまして、もともとが高い本ですから、だんだん買うのも厳しくなってきているんです。そこへ二千円近いファンブックが出て、うっと躊躇した。けど、躊躇しつつも買っておくべきかと迷っていて、そこへ背を押したのは、tsawada2氏の日記。2007年4月11日の「今日買った本/CD…」が決め手となりました。

『ひだまりスケッチブック』の内容を端的に示すとイラスト集、なのではないかと思います。『まんがタイムきららキャラット』の表紙を飾った絵やカラーページの扉ゴマなどがメインといっていいのかな? 分量的に見てもそれが妥当だと思うのですが、しかしこのかつて一度は見てきた表紙絵、扉絵の見ごたえのあることといったら、自分自身驚くほどでした。

イラスト自体が見て楽しいというのもそうでしょう。これまで私が思っていた以上に鮮やかで魅力的というか、絵の端々から色気が感じられるというか、一ページ一ページめくりながら、いいなあとため息するようなよさというのがあるのです。そして、面白いのはそのイラストイラストに、アイデア稿ともいえるラフスケッチが付されているというところ。紆余曲折が見えてきたり、あるいはブラッシュアップされる様が感じられたり、こうした筋道のようなものが見えるというのは面白いものですね。コメントだってそうです。反省あるいは評価があったかと思えば、最終稿にいたるまでの経緯の説明があり、あるいはキャラクターに対して思っていることや裏話めいたことなど、こうしたことを知ることができるというのは実によかった。知ってどうなるというものでもないですけど、やっぱりその人の絵が好きなら、知りたいものではあるでしょう? 実際、ビジュアルファンブックという表現は実に妥当であると思いました。

イラスト集の他にはインタビューと漫画が収録されています。実はインタビュー、もっと普通のものかと思っていたんですが、思わぬ収穫といいますか、結構読んでいて面白く、ほら世の中には通り一遍というようなインタビューも多いでしょう。ところが、そうじゃなかった。扱う内容が独特というわけではないのですが、最終的にできあがった記事は蒼樹うめという人を実によく表しているのだろうと思える感じなんです。これ、インタビュアーがよかったのか、まとめた人がよかったのか。あるいは、問いに答える作者その人がよかったのか。いずれにせよ、結構いい感じの記事であったと思っています。

そして、漫画。実は私はこの漫画を読むためだけに買ったつもりだったんですよ。本編の漫画に変わらぬ質の面白い一編、仮に私はこの漫画のためだけに対価を払ったとしても悔いはなかったと思っていますが、けれどこの漫画だけがこの本の価値ではありませんね。イラストもよし、インタビューも漫画もよし。実際、そつなくまとまりながらも一歩質の高さを感じさせる、バランスよい好著だと思います。

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