2014年11月4日火曜日

涙の数だけ輝いて!

 ゆいちゃんが一番可愛いと思う。川村唯。我が心のセンター。失敗しても、素直に謝ることのできる素直な子。罰だって進んでうける、性根がしっかりして優しいお嬢さんです。仲間のこと大切に思って、グループやメンバーのことバカにするのは許さない、自分が矢面に立って面罵痛罵を受け、皆を守る盾になろうというがごとしその意気や、実に清々しい。ほんと、女子の鑑、アイドルの中のアイドル。苦境にあっても明るくポジティブだし、実際、ビジュアルだって断然いけてる。表紙でいうと、センター直子の下手側、あ、歌が下手っていってるんじゃないよ? しもて、向かって左、あのポニーテールのキュートガールが私の一推し、川村唯さんです。

もう、いいたいことは全部書いた気がする。

作者もあとがきでいうように、主人公、ピュアドールズのメンバー皆が単純な成功者ではないというところ、それが効いていると思ったのですよ。この漫画のはじまった当初は、皆それぞれに個性的で自由で、ありていにいえばいいかげんな性格。ライブ当日に堂々遅刻してきたりね、しかもそれがひとりふたりじゃなく、直子を除いた残り全員。ひとりひとりが、違ったタイプのろくでなし。けど、そんなろくでなしの彼女らが、なぜか見ていて憎めない、そんな可愛げ? 愛嬌があるのが実によくって、毎回毎回、どんな迷惑がセンター直子にふりかかるのか、直子には悪いんですけどね、そんなこと楽しみにしていたものでした。

それが、中盤以降の各メンバーにスポットライトが当てられたところからね、彼女らへの愛着といいますか、応援したいという気持ちが、より一層に、ぐーっと強くなりまして、涼さまのアイドルにかける決意とか、麗奈の友情、そして私の唯のくったくなく、どんな苦しい時だって、いつも笑っているように見える彼女の、けれどその気持ちに火のついたあの瞬間などなど、やっぱりひとりひとりのバックグラウンド、そこに生じるドラマが見えると、一気にキャラクターはその生命感を強くさせるな、そう感じさせられたのでした。

申し訳ない、ちょっとネタバレになります。

直子と晴香ですよ。あれはきましたよ。ピュアドールズのライバルグループ、IDL108にまつわる直子の過去。決して目立っていたとはいえない彼女が、しかしそれでもなしとげていたもの、掴んでいたものが描かれ、そして一度は挫折を経験した直子に働きかけたファンの声。それらが、今のピュアドールズに繋がっている。回を重ねて丁寧に描かれたふたりのストーリーは、互いが互いにその気持ちを支えていた、勇気を、前に進もうという気持ちを、しっかり後押ししていたんだ、そうした関係を今改めてふたりの前に明らかにして、普段は全然素直じゃない晴香の本当が見えた気がした。不安を抱えていた直子の気持ちを、またより強いものに変えたと知れた。もう、ほんと、涙目でしたね。ああ、この漫画のタイトルにいう涙とは、こういうことか。ただ、直子が苦労して泣ける、そんな涙だけじゃないんだ、心底そう思わされました。

どんなにシリアスっぽい展開になっても、基本ギャグでコメディで、シリアスにどっぷりひたるということはないんですね。必ずどこかに軽さを残していて、くすっと笑わされて、しめっぽいままに、重苦しい気持ちのままに放置されるということがない。それが本当によかったです。その軽さ、明るさは、彼女らピュアドールズの基本スタンスなのだと思う。その背景になにがあったとしても、楽しさ、面白さ、明るい気持ち、そうしたよりよい方向に引き上げてくれる。そうしたところ、ほんと、彼女らはアイドルなのだと思うのですね。ほんと、輝いてると思うのです。

  • 柳瀬ルカ『涙の数だけ輝いて!』第1巻 (アクションコミックス) 東京:双葉社,2014年。
  • 以下続刊

0 件のコメント: