『まんがタイムスペシャル』2015年1月号、発売されました。表紙は『恋愛ラボ』、マキがリボンかけたマフラーを手に、これ、手編みなんですよ? 今にもプレゼントを渡そうという光景でしょうか。ちょっとうつむき加減の上目使いで、頬には朱がさして実に美しいお嬢さん。あの指の表情が実にいいですね。そして他には『ローカル女子の遠吠え』、トナカイサンタコスプレのりん子が無表情でカタログギフトを差し出して、『前略、パリは甘くて苦いです。』ミシェルのクリスマス仕様、ブッシュ・ド・ノエルも素敵にできています。
『だけど温田さんはひとりでデキない』、温田、富崎ふたりの関係、誤解してるの課長だけだったのが、その課長の不用意なひとことがきっかけになって、ばーっと課の女子に広がってしまった。女子の皆さん、恋愛の話が好きでいらっしゃいますね。しかも、富崎の不用意な発言で相手が温田とばれて、いや、ふたりともにそんな関係じゃないんだけど、温田の受け答えが微妙なもんだから、みんなそれでどんどん話を進めていってしまって、ああ、外堀が埋められてしまった感があります。富崎、注目されるのが苦手なんですね。気分悪くなってしまうんだ。10歳の頃に注目されてぶったおれて、それ以来そうだったのか。ちょっとつらいな、富崎くん。そして今回の課長、別れ話と誤解するのか。けどなんだか前向きで、それでなんだかめでたしめでたしで、うん、課長じゃないけど、そうかっ、よかったねぇ、そんな気持ちになる展開でしたよ。
『どろんきゅー』、よくできてるなあ。めずらしくアキがトラブル? の中心で、バスケ部の戦力としてレギュラー入りさせられてしまって、そしてそれからアキの周辺に出没するようになった青い小さな影。アキのいってた青鬼の呪いなのか。ということは、アキに呪いをかけた誰かがいる? 嫉妬とね、その嫉妬からの解脱とね、そうした展開、いつのもテイストにもう一味をそえて、よかったですよ。野崎先輩、うん、可愛いじゃん。うん、また出てきてくれたらいいなって思いましたよ。
『みずいろミュージアム』、これもよいなあ。フンボルトペンギンの雛。最初絵だけ見た時、なんで鳥? そう思って、ああ、ペンギンか! 水族館の生き物、その繁殖の管理の問題など、なるほどなあ、気になったことはあったんですけど、やっぱりこうしていろいろ調整しているんですね。ペンギンの卵を擬卵ととりかえる。なぜなのか? 近親ペアの子が増えると、将来の繁殖率や死亡率に悪影響がある。だから、こうやって調整するというんですね。けれど、それは生まれるべき命を摘むということで、そうした、ただ生き物が可愛いだけではすまない水族館の仕事、その厳しさが語られたのもよかった。そしてさらに、そうした厳しさを理解した上で、少しでも理想の仕事に近付けるようにと頑張ってる。そうした描写もよかったのです。
『先生のすみか』、一件落着ですね。家庭教師としての仕事でつまづいてしまったヤマト。それでくよくよ落ち込んでるかと思ったら、ヤマトを拒否した子、ゆりもくよくよ落ち込んでしまっていて、お母さんもいうように、真面目で優しい子だなあ。ゆり、学校にいっていない。それで、ゆりの気になってる男の子が家まできてくれて、悩み聞いてくれて、いや、この子、大人しく見えるけど、落ち着いて、思慮深くて、いいなあ。そして解決、なんだけど、先生! ヤマトくん! 生徒に負けちゃってるよ! けど、ほんと、ほのぼのといい話でした。
『なり×ゆきリビング』、これいいなあ。明るく溌剌とした魅力ある奏莉と、ちょっとアンニュイ感じさせる表情が色っぽい雪。今回は、それぞれの休日なんですね。雪が買い物、プラプラ見てまわるだけっていうんですが、出掛けるので、家では奏莉ひとり。なるほど、雪は食器とか見るの好きで、奏莉は特にこれといってなにかあるわけでもないのか。手持ち無沙汰っぽい奏莉の様子がおかしかったです。なるほど、普段はだらしない格好見せないようにしてるのか。でもって、なんだか間がもたないようで、出掛けようとしたら、猫を踏んじゃう。あの、猫と会話してるところとか、味があっていいですよね。でもって、スニーカー洗って、お風呂場も洗って、そうした休日。雪の買い物も有意義だったようで、ほんと、普通の日常切り取っただけみたいな漫画なのに、それがなんでこんなに面白く、魅力的と映るのだろう。キャラクターのせいもあるでしょう。この雰囲気のよさもあるでしょう。けれど、そのどちらかだけ、いやそのどちらもあわせた以上のよさが感じられる、そう思うんですね。
- 『まんがタイムスペシャル』第24巻第1号(2015年1月号)
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