少し前に、萌えキャラで学ぶ○○みたいな本がブームだったりしましたよね。英単語や歴史年号はわりとオーソドックス。他にはビジネスものやコンピュータの知識などなど。いろいろあったわけですが、こうしたキャラクターや漫画で学ぶということに関しては、やっぱり科学が先駆者なんだと思うんですよ。古くは学研のひみつシリーズ。これは自然科学に限ったシリーズじゃありませんでしたが、けどやっぱり科学ものという印象が強くて、それは私の嗜好もあるのかも知れませんね。最近だったらやっぱり学研の『まんがサイエンス』。これも長いシリーズになっていて、面白い、ためになる、キャラクターも可愛い! と、科学漫画が好きならぜひとも押さえておきたいタイトルです。そして、このたび新しいタイトルが科学漫画に加わりました。田仲康二『ふわふわ科学』。芳文社はKRコミックスが贈る、科学に触れ、科学を楽しもうという漫画であります。
これ、連載がはじまった時、やった! と思ったものでした。不思議なものといいますか、『まんがタイムきらら』系列誌には、ひとつのトピックをかなり深く踏み込んで解説描写するものが結構ありまして、読むとみるみる詳しくなれる! いや、ほんと、冗談抜きでしっかりした手応え残すものがあって、ボウリングあり、陸上あり、ゲーム業界あり、実に多種多様、もしかしたら四コマ漫画はレクチャーものに向いてるんじゃないか? そんな風に思うほど。そこへ科学ものも登場してきて、もう素晴しいな。感激したんです。ある意味、これは盲点、目からうろこでした。科学漫画は昔からあるのに、それがこうして『きらら』誌に掲載されることがあるとは予想もしなかった。ないと思い込んでいたんですね。
登場するのはミソラ、サツキ、カホ、レイナ、チエの女子高生5人。彼女らがルリコ先生の科学教室にて科学実験する、っていうんですが、ルリコ先生は英語の先生。この科学ラボは実験的教育過程なんだそうです。授業というより、クラブ活動といった雰囲気で、紙コップとアルコールで作るロケットや、静電気の実験など。実際に試してみて、なんでこうなるんだろう? 疑問に思ったところやその原理をルリコ先生が解説していくといったスタイルで進行するところなど、実にオーソドックスな科学漫画であると感じます。場所は教室にとどまらず、友達や先生の家、プール、通学路と多様で、内容も化学、植物、気象、天文、台所や掃除の科学といった身近なものまで多彩。読んでなるほど、ちょっと試してみたいな、そう思わされることもしばしばで、実際にカルメ焼き作ってみたりしたもんでした。この自分でもやってみたい! そう思わされるところに、この漫画の描いているもの、科学の実験の楽しさが感じられるのですね。
そうなんです。子供のころ、科学雑誌の付録、実験キットで遊ぶのがすごく楽しかった。科学館にいって、体験展示に触れたり科学実験を見るのが好きだった。テレビで見る科学番組、科学の理論を実際に試してみる、そうしたものが面白かった。そんな気持ちを思い起こさせてくれるのです。ちょっとした実験でいい。大げさでなくていいんです。手の届くところにだって科学がある。手で触れて知る、そんな科学の楽しみ面白さを、ミソラたちの驚き楽しんでいる様子を通して、私も知る。その感覚が、ああ科学というのは、いつだってわくわくさせてくれる、ワンダーなものなのだな — 。思い出させてくれるのですね。
描き下ろし、カラーページの実験。ミソラが火を消したマジックの種は二酸化炭素なんでしょうけど、あれは差し棒に仕掛けがある? それとも最初からコップに満たされてた? 解説がないんですよ! けど、ショー仕立てで見せる化学実験は楽しくて、ミソラが一生懸命がんばってるっていうのがね、すごくいい。身の丈の科学ショー。散らばっちゃうと慌てるところなんか、可愛くって実にいい。この感覚が、ふわふわ、なんでしょうね。気張らず、気持ちを楽にして読んで、可愛いな、面白いな。それで、自分も実験してみたいな、そう思うことがあれば、ふわふわ科学を充分に楽しんでるってことなんだと思います。
おまけ
重曹、いっぱい残ってるから、また作ろう。
- 田仲康二『ふわふわ科学』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2012年。
- 以下続刊
0 件のコメント:
コメントを投稿