『まんがホーム』2012年4月号、昨日の続きです。
『センセイあのね?』は、ちょっとしたターニングポイントでありますね。前回、がすでにそうだったようにも思いますけど、思わず先生に告白してしまったつぐみ。それでどうしよう、いうだけいっちゃったけど、この先どうしよう。いや、ほんと迷いますよね。で、マリと越後屋さん、ふたりの思ってることの違い、これがなかなかにいい感じ。越後屋さん、いいなあ。そして、つぐみ、あえて答をいわない先生を前に、焦れて、いうだけいって、これからはもっと前向きにいくからと宣言して逃げる。ああ、こういうところがいいですよ。この人の、いざとなったら肝が据わるとでもいうか、こうしたところがいいですよ。
『椿さん』は卒業式の風景ですね。序盤は普通に単発で。後半にはいると卒業がテーマにシリーズ展開です。親父さんからのプレゼント、はいいとして、先生を先回りしておいしいところを奪っていく椿さん。稔のこれまでを思い出して、感慨深い椿さん。というか、どんだけ暗躍してきたんだ、この人は。そして、やっぱり稔は稔。長く見守ってきた、その思いが、育ち巣立つその日、変わらないところもまたあるんだと知れて安心する、そうしたところに感じられて、描写はばっちりコメディなんですけど、不思議といいですね。そして萩さん。ああ、椿さん。それはいつもの悪戯なのか、それとも優しさなのか。いや、ここまでくれば優しさですよ。素直におなりよ萩ちゃん。ええ、なんだかね、青春じゃありませんか。いいですよ。
『この果実は誰のもの』、じりりと進行してきたこのシリーズ。なかなかに深まってきて、ああ、彼女は本当に僕のことが好きなのだろうか。そうした疑いと、けれど諦めるなんて到底できそうでない思いの狭間で揺れてきた矢川少年の心の動き。この期におよんでも思い切れないのね。けれどその怖れを素直に吐露し、そして複雑に揺れる瀬谷を前に、気持ちをはっきりと告げる。この、曖昧としたなかに浮かびあがってくる少年少女の恋愛の機微。しっとりとして、とてもいい。好きだわ、そう思います。
『腐女子主婦がゆく!』、いや、もう、大好きなんですが。とりあえずボツ。あれー、『花音』に持ち込むことになるんだろうなっていうのは予想してたんですが、見事にボツか。しかし、指摘されたのが絵。古臭くて時代に合わないって、作者自身おっしゃってますけど、いや、そうじゃなくて、花田さんの正面顔が一貫して右頬側に歪んでるとかさ、そういうところがあかんのじゃないのか? とか思ったりするんですが、あの持ち込み作のコピーと思しきもの、コミカルでちんまい絵柄、あれはちゃんとしてるなあ。でもまあ、あのデフォルメ絵だけということもないでしょうし、ちょっと本気の絵を見てみたいなあ、そんな気もしたりしています。しかし今回面白かったのは、花田さんが一貫して疑っている、プロの方ですよね。絵に覚えがあるから、ふてぶてしいから、ずうずうしいからと何度も何度も確認されて、そのたびにしれっと答える、違います。この展開、この見せ方は大変に面白かった。一種、身を切るかのようなこの企画。今後は他社の雑誌に持ち込むことになるんでしょうか。申し訳ないんだけど、すごく楽しみです。
- 『まんがホーム』第26巻第4号(2012年4月号)
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