『まんがタイムオリジナル』2012年4月号、先日の続きです。
『満開!Sister』はお弁当。たけしの好みは、時代劇に出てくるような古典的弁当、って、そりゃあただの握り飯だ。学校で、嬉しそうにいそいそ出して食べてたら貧乏認定されるとか、いろいろ作ってみたいカンナも不満そう。ところで、学校でのこと、あの女子ですよ。たけし曰く大和なでしこ。清楚、いい人っぽい! そんな感じがするのですが、どうも実態はたけし以上の質実剛健の人っぽい。たけしは質実剛健を夢見つつ、実際は繊細な少年だもんなあ。しかし、弁当ひとつで、姉、妹、母から酷い目にあわされるっていうね。いや、酷いのは妹さくらのチョコレートとか花とか、えらいもん食べさせられそうになったあれくらいですが。しかし、母の弁当のスタンダード。あれはしびれます。息子としてはつらいよなあ。
『おゑど恋愛帳』、いいですね。雪見のデート。将軍家光の純情、そいつが実にいい。おキヌの表情に暖まり、燃え上がった気持ち冷ましと、この気持ちの忙しさ。いや、もう、惚れてなさってんだねえ。面白さは、主に十兵衛の過保護、隠密班に無理難題を強いる、あの、雪の下の小石の除去ってさ、無理だよ! 忍びどもの面白いこと。もう、たまらんですね。しかし、そうした面白さの反面、身分違いの恋、きっと成就はすまい。そうした思いを持つ人がいる。けれど当人は、そんなこと関係なしにこのふたりの時間を大切に楽しんで、ああ、だからこのふたりの恋、そいつが成就したらいいなあ、なんて思わされる。それがいいですね。
『恋は地獄車』、姉ちゃんの天誅! いさかいに対する男子と女子の差、ああ、すごくよくわかりますよ。って、いくらなんでも万里子さんはやりすぎです。っていうか、なに入ってるの? 落ち込む千歳。それで暴走する? そうかと思ったら、意外と落ち着いてますね。しんみりと、いや、その気持ちはよくわかるぞ。けど、ほんと、この子の恋はどうなるのだろう。というか、高橋もどうなるんだろう。いろいろと欠けた人たちの恋の物語。ハマってしまう人がいれば、自分に恋は無理だよと、最初から諦めている人がいる。求めても求めても得られない人たちも。そうした様子があまりに極端だから、読めば笑うし、おかしいし、けど本当のところは結構切ない、そんなテーマをはらんでいる漫画なのかも知れませんね。
『ぎんぶら』は、賭博大好き、ギャンブル大好きのブクゼニアに降り立って、いや、これ、なんといいますか、結構ベースがちゃんとしてて驚かされます。市長の職も賭けで決まる。大学受験もスロットで。そんな、運次第みたいな状況環境であるんですが、それでも社会が成立するのは個人差が少ないという事情があるからというんですね。なるほど、確かに個人差が少なければ、選抜に能力差をもってするよりも、スロットなりジャンケンなりで決めてしまうというのもある種の合理性なのかも知れません。変な説得力があるんですよね。そして、あの公徳心。ギャンブルで大当たり、大金もうけてやることは、寄付、募金、社会性の高さがあるっていうんですね。面白いわあ。で、この星以外の人間は寄付するとか、そういう文化背景を持たないから税金でがっぽり徴収しちゃうっていうんですね。なかなかに面白い。なるほど、賭けの面白さだけを求めて、社会を存続させる、そうした意識が別にあるからこそ持続もすれば繁栄もした、そんな感じなんですね。これは面白いわ。
- 『まんがタイムオリジナル』第31巻第4号(2012年4月号)
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