『まんがタイムきららフォワード』2010年12月号、発売されました。表紙は『夢喰いメリー』。ヒロイン三人、揃い踏みですね。メイド、いやウェイトレスか、エプロン&ヘッドドレスつけて、メリーはオムライス、勇魚はナポリタン、そして由衣はパフェを運んでる。その三人の表情、いきいきしていて魅力的です。特にメリーの、なんかしてやったりな表情、すごくよいと思います。こういう表情、好きなんですね。
『少女素数』。先月、すこし描かれたぱっクンと有美ちゃんのこと、今回に繋ってきましたね。兄の部屋にて作業しているぱっクン。すみれとふたりだけと知って、昔のこと思い出す。小学生の頃から、すみれのことが気になっていたのか。対してすみれは彼のことをどう思っているのか。なにか微妙な距離感じさせて、この子はぱっクンに兄の姿を思ったりしているのかな。いろいろ思わせる描写が続いて、そしてぽろっと秘密事項を漏らしてしまう。本当にちょっとしたエピソード。けれど、そのちょっとの中に、いろいろな人の感情が浮んでくるのですね。
この漫画は、確か物語として展開するような意図、予定はないということでしたけれど、それでもどうしても人の気持ちが関わりあえば、そこに動き出してくるものある、そんなこと思わせてくれるのですね。交錯する思い、生じる葛藤、悩みや迷い。それが劇といわずしてなにを劇というか、そうしたこと思うこと、増えてきたように思っています。
『純真ミラクル100%』、最終回です。前回から半月が経過して、ええーっ、モクソンが社長とな! のっけから驚かされる展開。これはやってくれますね。しかもモクソンを社長と呼んでいるのは、オフィスTの解体に一役買った末澤女史ときた。で、吉田大村組、そして二宮さん、健在。これはやられました。なんと個人事務所ときましたか。オフィスT残党による新事務所立ち上げとかあるんじゃないかなとは思っていましたが、それを上回る展開してみせて、これはすっかりやられてしまいましたよ。
モクソンの問題、それは解決したといってもよい状況。仕事も評価されているようです。そして、末澤と高杉元所長の関係も、わだかまり残したままながら、けれどそれはそれなりの決着を見せているみたい。そして高杉工藤組。ああ、いい終わり方しましたね。壊れたものはあったけれど、残ったものの方がずっと多かった。そうしたラスト、すごくよいものだったと思います。単行本でまとめて一気に読み返したくなる、そんな終わり方でした。
『わたしたちは皆おっぱい』、ジュリー編の完結です。ジュリーの屈折した言動、その理由もはっきりとして、そうか、想像以上にヘビーな展開だった……。しかしジュリーの過去、性別を偽って転校というの、これ、今の時代だと、性同一性障害を主張することで可能なのかも知れないな、などと思ったり。根深いと思われたジュリーの問題、弟道里くんは、そんな姉が救われて欲しいと思っていたみたい。そして、いつもどおりの貴子の言動、あまりにおかしな方向からの主張にあっけにとられる気持ちはよくわかる。そして和解。思えば、ジュリーは、父のことも父の写真も嫌いではなかったのだろう。ただ父の写真に対する世間の評価、そして周囲から向けられる悪意に、自分の気持ちに蓋をし丸ごと否定してしまわないではおられなかったんだろうな。そうしたところへ、貴子の言葉が、いわばかつての自分を肯定するようにして届いたってことなのだろう — 。そのような諒解をしたのでした。
大きなテーマであったものだから、ちょっと展開が駆け足と感じられたのが残念というか、もったいない、そんな気持ちにさせられたのですが、そんなジュリーもなんか明るくなって、貴子の友達になったみたいで、これ、次回からまたなんかおバカな展開になってしまったりするんだろうか。瑠海音がかつてそうだったように、貴子の主張にあきれたりつっこみいれたりするような、そんな関係になるのだとしたらよいな、面白そうだな。そう思える展開、次回がどのようになるのか、楽しみです。
- 『まんがタイムきららフォワード』第4巻第12号(2010年12月号)
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