2010年10月3日日曜日

『まんがホーム』2010年11月号

『まんがホーム』2010年11月号、昨日の続きです。

『紫乃先生丸美録』、前回知り合った小説家、三儀貴子さん、今回も登場です。料理をしている姉さん。この人は、できないじゃなくてやらない人なのか。けど、そうした姉さんについてより、お母さんの反応が面白い。ああ、娘というのはこうしたものなのか。なんだかわかるぞ、なんとなくわかります。しかし、家族に対してはいいたい放題わがまま放題なのに、外に出ると地蔵なんだ。そして三儀貴子、なかなかのやり手。和泉はじめ、姉も父も手懐けて、この人、実に面白いな。締め切りをいかにのばすか。過去のチャレンジの結果でしょうか、隠された本当のデッドラインが明らかになっている。いやあ、以前中島らもだったかが、かつて編集側の仕事やってたために締め切りのデッドラインがわかる、とかいってたの思い出しました。余裕を持ちたいと思っているのに、本当のぎりぎりをついてこられるっていうのは嫌なことだろう。なかなかに剣呑なやりとり、じつによい感じです。

『恋愛ラボ』特別編。兄様に嫉妬! のっけからへろへろになってる結子、めっちゃくちゃ可愛いな。なんというんだろう、車酔いとかで弱ってる、それこそ吐きそうになってますっていう女の子って可愛いですよね。けど、実をいうと私自身がこういう子供だったんです。自家用車で酔う、バスで酔う。酔い止め飲んでも効かない。一番いいのは寝るなんだけれど、翌日車で寝られるようにと前日の睡眠時間を短くしたら、それで体調悪くして酔う。もうどうしようもない。結子の気持ちはよくわかります。

そうした結子がすこしでも車が大丈夫になるように、一芝居うつ兄様。いい兄様じゃん。ずっと悪い兄様、駄目な兄様だと聞いてたから、ものすごく意外。妹にものすごく懐かれている、だからなんとか妹が車を怖れないですむように、車で出掛けることが苦にならないようにしようっていう、ほんと兄の妹に対する愛情、妹が向けてくれる気持ちに応えようという、そうした姿が本当に素敵な話でした。

それで思い出すんですが、自分ちの車だと酔わないっていってましたね。そうか、この話が用意されていたのか。おどろきの構成力です。

『まりかちゃん乙』、扉が可愛い。断然ブルマよりハーフパンツだなあ。さて、体育祭が嫌なまりかちゃん。そうか、運動苦手なのか、と思ったら違うのか。期待に潰されてしまうタイプなのか。読めば、いろいろ考えすぎて、悪い方、悪い方へと流れていってしまう模様。ああ、難儀な人だなあ……。その、考えんでいいこと考えて、自滅していく、そういうところが面白さなんでしょう。しかも、そうした性格だっていわれてるのに、わざわざ大げさに期待してるって告げる友人。鬼のようじゃありませんか。もう、全然うまくいかない。それで、またおかしな行動に出る。面白いキャラクターだと思います。

『三日月の蜜』特別編です。この特別編、今度出る単行本に収録されるのかなあ。ここでしか読めないとかいってるから、収録されないのかな。されなかったら嫌だな、そう思うくらいに気にいった話です。本編最後に付き合うことにきまった桃子さんと佐倉さん。その後、というよりも、結果的に蚊帳の外に追いやられてしまうことになった杉さんとふたりの関係がどうなったか、みたいな話。面白かったです。杉さんのこと嫌ってるわけじゃないから、きっと告白されてたら付き合ったろうっていう桃子さん。けど、その杉さんの佐倉さんに向けた気持ち、恋愛とは違うのだろうけど、ものすごく可愛がってる、可愛く思ってる、大事にしているということがわかる、そんな様子ありあり描かれて、それでがつんと思いが嫉妬に向かうっていうの、いや、素晴しいですよ。大人に見える桃子さん、けど実際はそうでもないのよっていうのは本編でも描かれたことですが、そうした面が効果的に強烈に描かれて、もうものすごく可愛い。ほんと、可愛い人だと思います。

  • 『まんがホーム』第24巻第11号(2010年11月号)

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