『まんがタイムきららキャラット』2010年12月号、昨日の続きです。
『もうダメかもしれない』、世界征服を狙うお嬢様が、クラス委員長にいいようにあしらわれる漫画であるわけですが、今回もいい感じにやられています。あの、女王様で釣って、自分はしれっと現実的な回答になおしとく。いい性格しています。けど、この漫画の面白さは、世界征服なんて非常識なこといってる当人にも、それなりの常識があるみたいってところなんではないかと思っています。自分で経験して痛かったから、どんどん罠をソフトにしていくとか。そもそも自分で試す必要ないのに、こういう妙にお人好しで、騙される、自分で罠にかかる、そのあたりのダメなところ、それがよいのだと思うのですね。
『商店街ヘルズゲート』、ゲストです。悪魔のお姉さん、佐谷と同居する直太郎少年が主人公。明らかに佐谷さんが年上っぽい容姿していて、それで明確に直太郎の片思いという状況も提示されて、こうしたの、わりとありそうな設定なんですけど、この漫画、実際に読んでみればなにか独特な雰囲気があって悪くない感じです。どうも落ち着き気味な佐谷、直太郎ふたりに、どうも直太郎のことが好きそうな(それもあからさまに)お嬢さん、虎姫さんを加えることで、状況に動きを作っていく、そんな感じみたいです。悪魔の佐谷より、虎姫の方が非常識というのもなかなかですが、妙に常識人で小市民的な佐谷、この人が商店街会長っていうところ、妙に楽しみにさせられます。
『ねこのひたいであそぶ』、これ、面白いです。夏休みも終盤、みんなで川に遊びにいこう、という子供たちというよりも、それを阻止する先生がいいんです。なえに追求されて連れていくことになる。お酒を飲もうとする同僚教師をとめるその理由なんかも、いい感じにあかんっくて、すごくいい。花咲先生、ちゃんとしてそうで、けどそうでもない。それが完全に愛嬌になってる。子供たちもよく懐いてるし、種山先生はからかったりして、愛されてるっていう感じがびしびし伝わってくるんですね。その気安い雰囲気の中、焼き肉、川遊びするという描写が楽しい。ネタとしてはむしろ淡々と、必要以上に盛り上げようとしないところがあるのだけれど、その穏やかなノリがいい味になっていると思っています。ライターとかさ、カボチャとかさ、着替えとかさ、水切りとかさ。なんともいえず、楽しく、面白くって、気にいっています。
『ちはやとまお』、終わっちゃうのか。私、この漫画、気にいっていたんですね。力の抜けた千早と万桜のコミュニケーション。積極的に面白いっていうんじゃなくて、ふたりのかもしだす雰囲気、それがあんまりにほのぼのとしているものだから、読んでいると知らず微笑んでしまう、そうしたタッチが好きだったのでした。ふにゃっとした、やわらかいというか、ゆるいというか、そういう絵も好きで、今回はちょっと荒れてるように思うのですが、そうか、この漫画も次回で見納めなんですね。
今回は猫をあずかる話。万桜には噛み付く猫が、千早には懐いてっていう話。千早の、猫を歓迎して、どんどん情のうつっていくところ。もうすぐお別れとわかっている、だから少しの時間も可愛がろうとしている様子、そして胸の重さに猫を思う。そうした千早の心情、いいなって思うのですよ。途中の、噛み付かれて困ってる万桜の様子もすごくよくって、だからやっぱり終わってしまうこと、残念。でも、終わることをことさらに悲しんだり騒いだりするんじゃなくて、千早がそうだったように、残る時間を大切に、残る一回を大切に読みたく思います。
- 『まんがタイムきららキャラット』2010年12月号
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