2006年7月27日木曜日

あねちっくセンセーション

 以前、『天使のお仕事』でごちゃごちゃ書いたときに全姉連 総本部様からトラックバックをいただきまして、世の中にはいろんな趣味嗜好があるのだと感慨深く思ったものでした。全姉連とは「お姉さん」の魅力を世界に広め、推進していく非政府組織(NGO)なのだそうでして、つまり平たくいえば姉萌え。日本にはいろんな萌えがあるのですね! でも、姉は、姉に萌えるというのは、正直私は駄目だなあ……。

私が全姉連の活動を知ったときは、妹萌えが斜陽にさしかかっていたころだったと覚えています。そうかあ、これからは姉萌えがくるのかあと漠然と思っていて、そうしたら吉谷やしよの新連載が『あねちっくセンセーション』。わお、! 漠然なんかじゃないですよ。まさしくここに姉ブームの到来ですか!? と色めき立ったことをまるで昨日のことのように思い出します。

『あねちっくセンセーション』には、三様の姉弟模様が! けど、普通に読んでる限りではやっぱり主人公姉弟が前面に押し出されてきて、ええ、著者の分類によると対立型姉弟でありますね。弟に対し全能であるがごとく振る舞う姉。理不尽にして横暴な姉に決死の抵抗を試みる弟。ああ、泣けてきます。泣けてくるじゃないですか。

なにが泣けてくるといっても、弟春人のけなげでしょう。姉にどれほど虐げられようとも、負けずめげず、でもたまには腐ったりして、でもチャンスは逃さない。姉に弱みあらばつけ込み、命の危険を顧みずからかったりおちょくったり……、ってなんのかんのいってもこの姉弟、仲いいよね。姉にしても、理不尽で乱暴だけど、弟のこと好きよね。いや、そりゃもう両者べったり甘々なんてことは金輪際ありやしないのだけれども、憎しみ合ったりとかそういうのがないから読んでて嫌な気はしません。ああ、こんな風につまらんちょっかい出したりするよねえ、いやそりゃさすがにセクハラじみたことはしませんが、しょうもないけんかにならないようなけんかをして面白がってるというのは、結構リアル姉弟っぽいよなあなんて思いながら読んでいたりするのです。

作者には姉はいらっしゃらないらしいのですが、それでもこんな、実にありそうな感じに描けているというのはなかなかに特筆すべきところかも知れないなあなんて思っています。けど、理想の姉を想像しながら描いたとか書いてありましたけど、これが理想の姉弟関係というのなら、ちょっと作者の趣味はあれだといわねばならないでしょう。でもさ、仲の良い姉弟関係の本質を透かして見せるような名文句名シーンもあるんですよね。だから、さくら春人姉弟の表向きに見せている関係だけでは、きっとこの漫画を語ることはできないのです。理想はその向こうにある。言葉に、絵にならないところに、この姉弟の本当の関係というのがあって、それがだんだんに伝わってくるものだから、私はこの漫画を読んで楽しいなあと思えるのだと思います。

『あねちっくセンセーション』は、全姉連も注目の姉コミックです。妹には飽きたという御仁、これからは姉が熱い、ですよ?

蛇足

私には姉があるから、ちょっと姉萌えってふうにはならんのよね。だから、強いていえば撫子かなあ。って、この人も姉だった! うーん、うーん、じゃあ瑞樹でお願いします。

引用

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