2006年7月24日月曜日

ニャロメのおもしろコンピュータ探険

私たちは今や夢の二十一世紀に暮らしていて、けど空を飛ぶ車もなければ友達のようなロボットもおらず、ああ夢の未来はどこにいったんだろう。とかよくよく冗談めかしていわれたりしますが、けど私たちはあの頃想像もしなかった未来を手にしているのです。そのひとつは携帯電話。昔、未来の特殊部隊が小型のトランシーバー(無線機)で会話するのを見てわくわくしたりしたものでしたが、ところが今や私たちは老若男女問わず電話という通信手段を持ち歩いているわけです。しかもこれ、会話するだけじゃなくて、メールを送ったり、スケジューラや電卓になったりと、ちょっとしたコンピュータですよ。と、このような機器をあらためてみれば、私たちの手にした未来とは、情報通信の高度に発達した世界なのであるのだなあと、ある種の感慨におそわれます。

けど、携帯電話なんて序の口です。私たちはそれ以上にものすごいものに接しているではありませんか。それはなにかといえば、インターネットですよ。未来には高度に発達したネットワークがあるはずだと予想した人は多かったですが、けれどそれはホスト=クライアント型のネットワーク(パソコン通信型っていったらいいかな?)でしかなく、今のインターネットの姿を想像した人がどれだけいたものでしょうか。情報はあくまでも情報センターから有償で購入するものであり、そうした情報というのも仕事や研究といったもので、一般に開かれたものではありませんでした。ところがですよ、実際はインターネット企業が広告ベースで無料サービスをどしどし展開し、さらには無償で百科事典を編纂しようという動きまである。すごいよなあ。まさしくインターネットは情報革命の舞台であったのだと、一昔前のコンピュータの事情をちょい見していた私には、やっぱり感慨深いものがあるのです。

『ニャロメのおもしろコンピュータ探険』は、友人の城戸くんが持っていた本で、城戸くんはコンピュータとかが好きな子だったんですね。でも、この本に出てくるような先進的コンピュータは子供が使うにはあまりに高価すぎて、だから彼が持っていたのはエポック社のカセットビジョンでした(あれ、ぴゅう太もあったかな? あ、そうだ、この人が電子ブロック持ってたんだ)。

この本、子供時分の私が見ても正直あんまりピンとこなくて、だから当時の印象は、CPUをさしてゲジゲジ呼ばわりしているとか、そういうのしか残っていません。ふーん、なんて思ってて、将来コンピュータを触ることがあるなんてまったく思っていなかった。そうなんですね。あの頃コンピュータといえば、よほどの選ばれた人しか触れないような、そういう特別な感じがしたものです。

だから、これだけコンピュータが身近になった今、この本を見るとまたなにやらしみじみ胸に兆すものがありまして、古書店で見つけたときには一も二もなく購入決定して、そして読んでまた胸が熱くなって、そうです、あの頃の方がもしかしたら夢は大きかったのかも知れない。できることは今よりもずっと少なくて、書いてあることも、今から見ればとんちんかんな話に思えます。マウスの代わりにライトペンでディスプレイにタッチして、モデムならぬ音響カプラが大活躍。プリンタはドットインパクトで、CD-ROMどころかフロッピーディスク(8インチと5インチ、3.5インチはまだなかったのだ!)が夢の大容量メディアとして紹介されています。けど、これが二十年前の現実なんですよね。

20年かけて、夢にも見なかったようなすごい情報社会にたどり着いて、私たちは次はどんな夢を見るんだろう。文字情報どころか、音声も映像も国境を越えてびゅんびゅん飛び交い、そんな時代に私たちはなにを見て、なにを生み出そうというのでしょう。メールボックスをSPAMでいっぱいにするばかりが、コンピューティングではないぞ。私たちの夢見た未来はこんなではなかったはずです。なにか、なにかこれだというものを生み出したいと、昔を振り返ればそんな思いも涌いてこようというものなのです。

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