『まんがタイムきららフォワード』2015年8月号、一昨日の続きです。
『バミれ、みどりちゃん!』、いいですよ。いよいよ新入生公演の本番を迎えるとなって、そうなると皆それぞれに不安に思ったり、また緊張したりするわけです。その個々の心情を丁寧に拾って、絵で、言葉で伝えてくれる。いつきの不安こそが目立っていたけれど、うろうろしてしまったりね、カチコチになってしまったりね、そうした皆の気持ちをやわらげようとした昴も、なんかうまいこといえなくて、けど翠が持ち前の明るさでもって状況を好転させるんですね。そして、いよいよ幕があがる。その緊張感、じっくりと見せてくれて、いやもう、これはわくわくさせられます。また同時に、自分の昔感じた気持ち、幕のうちにて思ったことなど思い出されて、いやもう、悪くないって思ったんですよ。ところで、カニさん、見事に昏倒。え? これって台本どおりじゃないの? え? どうなっちゃうの?
『夢喰いメリー』、武装明晰夢を発動させるべく、メリーとともに練習している夢路ですよ。あれ、一緒にまざってる子供たち、面白かったなあ。エンギは自在に散茄子、漉座刀を取り出して、リトルチェイサーも親分達はすぐにできたなんていっちゃう。できない理由は、別にあるのではないか。ジョンがいえば、夢路も続けて、記憶が欠けているからじゃないか。これからは、そのきっかけをつかむ戦いになっていきそうですね。後半が見物でした。奈桜、そして由衣のいう、夢をつかむ、出来ない間も楽しい、そうした言葉、そのしみじみと感じいるよさ。イチマの葛藤。この子のかつての執着と、今抱えている思い。その違いが感じとれるようで、ああ、とてもいいシーン、それが続いたと思います。またメリーの記憶、そのきっかけ、イチマの言葉によってもたらされて、ここで状況が進むか? どうなる? 気になるところです。
『ルイは友を呼ぶ』、よかったですよ。今回はネルの問題がとりあげられて、この子のアイドル時代の挫折、それが明確にされたのですね。なるほど、ツノの激太り、それが発端ではあったものの、決定打となったのは能力の暴走。ツノに生えたトゲ、それが原因なのかどうなのか。能力が暴走して、自分の心の声が流れ出してしまったっていうんですね。なるほど、手を握ったことのある相手に心の声を送ることができる。その能力が暴走して、今もまさに暴走して、内心がルイに全部流れていってしまっている。嫌がうえにも、向き合うしかない、そんな状況に追い込まれちゃってるんですね。言葉では伝えられない。そう思って、能力に頼ろうとするネルを、ルイが言葉で伝えないと意味がないといさめる。ああ、こうしたところにもネルは問題を抱えていそうなんですね。
『そこテストにでます!』、もみじといろは、ふたりの帰り道。そこで語られるかえでのこと。ああ、かえではあんなにも完璧に見える、そんな人ではあるけれど、むしろ逆にもみじのことを羨ましく思っているところがあって、知らされて逆に驚くもみじ。これを簡単に隣りの芝は青いといってしまっていいものか。なんて思っていたところ、ああ、もみじの切ない願いと、ままならない現実、その対照が際立って見せつけられるという展開。否応なくもみじへの同情つのって、そしてかえで、数馬、ふたりの帰り道。そこで少しずつでも、ふたりの心の距離は近くなっていったというのか。人の思いと、そのままならなさ。そうしたこと、こうして描き出されて、切ない。数馬の浮き立つ気持ちあらば、もみじの不安といじらしさ。そこでかえでの心情やいかに。なにか胸の裡に隠したものありそうにも思われて、この見えない、わからないことが、かえでをただ魅力的なヒロイン、というだけではない存在にしている、と感じるのですね。
『描けない私のびだいじゅけん!』、いい終わり方をした、そう感じています。どうしても描きあげられない、自分で描いている絵を台無しにしてしまう。そんな問題を抱えていたりの。紆余曲折を経て、それでもその衝動、未完症は解消していなかった。そんな時、体を張って、とめてくれた友達。斉藤さんがね、もうしっかり友達なんだなって、ふたりそれぞれに自分の問題に向き合って、まだまだこれからかもは知れないけれど、少しずつ乗り越えていこうというのだなあ。その過程で、わかりあえるものもあったのだと思うと、ほんと、いい友情の物語だったのではないか、そんな風に思わされたんですね。ほんと、りののとてもいい笑顔に、軽く微笑むように応える斉藤さんの、その距離感、ああいいな、とてもいいな。いい終わり方をした。そんな気持ちで読み終えたのでした。
- 『まんがタイムきららフォワード』第9巻第8号(2015年8月号)
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