『まんがタイムオリジナル』2015年7月号、発売されました。表紙は『ラディカル・ホスピタル』メインに、お、これは大工仕事でありますね。山下さん、法被着て肩にどーんと角材を担ぐ、その姿凛々しくて、いやもう、かっこいいなあ。頭に巻いたタオルもよおくお似合いです。角材担いでいるのは『小森さんは断れない!』小森さんもですよ。と、こちらはさらしを胸に巻いて、ちょっと刺激的。そして『らいか・デイズ』らいかも大工仕事、というか、これは夏休みの自由工作。慣れない様子、なかなかに味わい深くあります。
『敗者復活戦!』、おっと、これ、ゲストか。ニーナ、月穂サマに、月がキレイですね、なんと告白ですよ。いや、そんなことないんですけど。月穂サマは、告白なのかなんていうけど、さっぱりそれが通じていないニーナ。そのやりとりをサボりと見抜く夕記。この、夕記のクールさがいいですね。今回は、月穂の店に泊まり込みなんですね。配送の仕事がたまってきてた。それを一気にやっつけて、と、全滅させられたわけじゃないのか。大変だな。仕事終わらせて、皆で銭湯にいったりね、でも、色っぽいとかまったくない。それがいい。湯につかって緩んじゃってるニーナが素晴しく可愛かったですよ。今回は、いつもよりもよりプライベート? 打ち解けた雰囲気があって、それでこそうかがえる表情といったらいいのか、そういうものたくさん見られて、大変よかったです。
『放課後すずなり倶楽部!』、うおお、なんと、不思議な話になってきちゃったんじゃないですか? 美亜のお母さんの髪ハネ天気予報。見事に雨を予報して、けど、これがまさか今回のエピソードすべてを貫く、そんな伏線になっているとは思いもしませんでした。猫屋敷玉緒先輩の不思議であります。美亜のお母さんのこと、知ってるかのような口振りで話す。そして美亜のうたた寝、夢に見たふたりの女の子、ひとりは玉緒先輩、もうひとりは誰だろう。ハネた前髪、ああ、その前髪は……。傘を忘れた娘を迎えにきてくれたお母さん。玉緒がすれ違いざまに口にした言葉。ああ、あの夢に見たこと。加えて、玉緒のいっていた、美亜の母の性格、それがここに描かれて、これは実に不思議な読後感残す、そんなエピソードでした。ふたりは知り合いなんでしょうか。玉緒とはなんなのでしょうか。謎です。その謎が魅力と感じました。
『迷想乙女の文学会議』、おお、今回は松島さんじゃない! 倉野さんと松島さんの関係を心配した部長が、倉野の様子を見るようにと、後藤を送り込んできた。というわけで、今回は後藤と文学談義。後藤から見た松島像、そのクールさ? 冷酷さ? 厳しさ? なんともいえない喜びを語る後藤に、そのいってることがわかってない倉野。そこからふたりの会話が文学に向かって、樋口一葉の『やみ夜』にいたる。知らない話でしたよ。なかなかに物騒な話、あるいは苛烈な愛情といったらよいのでしょうか。けれど、後藤氏じゃありませんが、自分もこうした関係に憧れるところがあるかも知れない。そう思わされるところありまして、ええ、松島さんが恋しい……。しかし、倉野、松島さんとの関係を秘密秘密と内緒にするもんだから、あらぬ噂? 誤解? 広がりそうで、わくわくしますよね。
『北斎のむすめ。』、もう、これ、面白いなあ。雨の日。雨漏りしたり音が筒抜けだったりする長屋の情景。いや、ほんと、広重曰くいい長屋。火事のとき、すぐ壊せる。破壊消防だよなあ、そういや、この時代。この漫画、テンポがよくって、すごく面白い。いくつか提示されたネタの種が、状況などなど違えながら、ぽんぽん飛び出してくる、その展開の妙、広がりの幅など、大変に魅力的で、いよいよ動きが出てきたぞ。登場人物も皆いきいきとして、面白み増してきた、そう思わされましたよ。お辰とお栄の姉妹喧嘩。その顛末などもとてもいい。というか、ご隠居タツさん、賭けの対象に介入するのはいいのかい? あの雨の中、傘を届けにきたお栄、それを受けるお辰。多くは言葉を交さないけれど、その少しの言葉に、許した、許された、そうした感情伝わって、ほんと、あれはいいシーンでありました。
- 『まんがタイムオリジナル』第34巻第7号(2015年7月号)
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