『鉄仮面のイブキさん』、これ、本当に素晴しい。ゲストで登場した時から、もう夢中だった。そういってもいいくらいだと思います。登場人物は、伊吹さん。クラスメイトの男子、喜多くん。そして伊吹さんの友人、相楽さん。この3人のやりとりが、この漫画の基本形。表情のまるで変わらない伊吹さん。そんな伊吹さんのことが気になってしかたのない喜多くんに、なんと伊吹さんの表情の変化を読み取れる相楽さんが、優越感もって上から目線だ! 素晴しい。ほんと、このシンプルな設定をフルに活かして、ずっと変わらず面白くあり続ける。そのことが、この漫画の地力の高さを物語っておりますよ。
しかしなにがいいといっても、もちろん漫画として面白い、漫画として読ませるということは大前提としましても、登場人物、キャラクターが皆魅力的で、すごくいい。表情がかたい、そういわれる伊吹さんも、喜多くんとアイデア出しあって、表情伝える方法をいろいろ考え工夫してみたりする、その様子がおかしく、またチャーミングでありまして、いやそれ以前にですよ、全身で感情を伝えようとするかのような伊吹さんの振舞い、それがなんだかほのぼのと彼女の可愛さかもしだして、いや、もう、最高ですよ。喜多くん、席をかわってくれ! もう、喜多くんに嫉妬だ! それくらい可愛らしい。ええ、伊吹さん、素晴しいです。
ボーイミーツガールものとしても面白いんですね。喜多くんと伊吹さんの関係が、ただのクラスメイトから、ちょっとずつなんか進行していく。してる? うん、ちょっとは進んでるんだと思う。喜多くんは伊吹さんに恋愛感情に近い憧れを持っている。伊吹さんは、喜多くんに友情的親しみを感じてますよね。ぐいぐい進むわけじゃない、ちょっとずつ、じわじわ? 近しくなっていく、その関係が素敵です。さらには、喜多くんのライバル相楽さんも、あからさまに敵視してくれちゃったり、そう思ったら、たまには微妙に優しくしてくれたり、あるいは共闘したり、いい味出してますよね。そして、そんな相楽さんに心寄せている演劇部部長、哀原先輩も登場ですよ。いや、もう、めちゃくちゃいいキャラクター。最初、うさんくさい男だなあ、そう思ったんだけど、いや、そんな感情は吹き飛びましたね。いや、ほんと、この人たち最高だよ!
第1巻は、伊吹さんの表情がかたいというエピソードから、って全部か、相楽さんがお姫様になって、超素敵! そんな回まで収録されています。ほんと、どれ見ても面白かった。どれ見ても、ああ、この漫画よいなあ。そう思えるものばかりです。
- 市川和馬『鉄仮面のイブキさん』(まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2014年。
- 以下続刊
0 件のコメント:
コメントを投稿