2014年8月24日日曜日

『まんがタイムスペシャル』2014年10月号

『まんがタイムスペシャル』2014年10月号、一昨日の続きです。

『踊る!アントワネットさま』、最終回でした。もうね、フランス革命があるでしょ? マリー・アントワネットを描くなら、もう不可避ともいえる歴史的イベントでしょう。そうなれば、後は処刑処刑の連続で、王様はもう処刑されちゃったし、マリー・アントワネットももう順番を待つばかりだろうし、さらには我らがヒロイン、マリー・ボヌールも逮捕されているしで、まさか全滅エンドなどあるまいな。なんとかして逃げるのか? ずっと不安に思っていました。アントワネット、マリー・ボヌールに我が子シャルルを託すのですね。逃げるための準備はこちらでした、だからシャルルを連れて亡命して欲しい。ああ、悲しい展開、けれどこうなるほかなかったのだろうなあ。いつもふわふわとしていた、そんな印象のマリー・アントワネット。けれど、あの、子を思う母の顔は真剣そのもので、その意思の強さ、気高さはこの上もなく、そしてふたりのマリーの友情。ああ、よくぞ描かれたものだ、よくぞここまで辿り着くことができた、そう思わないではおられませんでした。ハードな展開、悲しい終わり。最後のマリー・アントワネットの、亡き夫へと語り掛け、そして、Adieu Marie. もう今生の別れである、絶望の中に希望を感じさせる読後感。これまでの積み上げあってのことでしょう。大変、よかったです。

『アテナの初恋』、今回はディオニュソスなんですね。酒と快楽の神。アテナに気があるらしい。なーんだ、アテニャン、もてるんじゃん。そう思いたいところだけど、この人、人っていうか神様ですけど、女性と見れば声をかけるタイプの人。うん、アテナも警戒しますわね。女性をモノ扱いするのはよくない、はっきりいうアテナ、実にいい。けど、ディオニュソスは決して女性の敵ではない。夫婦間でのトラブル、束縛される妻に味方して夫に話し合いをうながす。ええ、アテナの誤解も解けるんですね。けど、ここでじゃあお付き合いとはならないところがいい。あの、ラストの渋い顔してるアテナが最高でした。

メェ〜探偵フワロ』、フワロ商会の仲間がやってきたぞ! すげー高級車に人だかりができている。その車に乗ってきたのが、フワロ氏の部下だっていうんですね。南米、中央アジア、ヒマラヤと世界各地を飛び回る忙しいやつら。気さくで面白い連中なんだけど、仕事は確かなようで、ふらっといなくなったら半年とか帰ってこなくて、それでまた帰ってきたとなったらものすごい大儲け。そりゃ、フワロ氏も田舎で探偵ごっこなどして楽隠居できるわけですよ。皆がアー坊、アーサーのことを心配しているんですね。まだ25歳。田舎に引っ込むには若すぎる。都会に戻って、いろいろ経験を積ませたい。そうした意向を知って、不安になるのがミス・レモン。まさかのヴィヴィ孫との本音トーク。ヴィヴィ孫の本気、それを垣間見た。そうか、決して余裕余裕じゃないんだな。なんか、ヴィヴィ孫のこと、見方がちょっと変わりそうです。しかし、最後のさ、じらされた女ふたりの焦燥、これはもう駄目押しでしたね。ほんと、ちょっと真面目で、そしてめちゃくちゃ面白かったです。

趣味じゃない園芸』、最終回ですよ。ベネズエラから帰ってきた蘭々の前には、更地になった元植物園が……。まあ、夢なんですけどね。まだ、進路をどうしたものか、決めあぐねていたんですね。そんな蘭々の背を押そうという、女子連中。その方法がおかしかったなあ。閉鎖が決定している県の施設に連れていって、植物園もそうなるかもよとプレッシャーかける。だから気にせず、自分の好きな道を選びたまえ。困惑する蘭々の相談に乗って、優しく説得する南方さんがよかったなあ。植物園がなくなるかも知れないというのは、あながち冗談でもない。だから蘭々には、植物園に縛られるんじゃなく、夢を叶えて欲しい。ええ、本当に皆から愛されてる。そんな蘭々と、この子を見守る園の皆の人となり、その心情など感じさせる、この漫画らしい、いいラストでありました。

  • 『まんがタイムスペシャル』第23巻第10号(2014年10月号)

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