『まんがタイムファミリー』2014年10月号、発売されています。表紙のテーマは盆踊りでありますね。メインは『ぽちゃぽちゃ水泳部』のカツ代、これは撫子かな? 花の模様の浴衣着て、汗を散らして元気に踊っている姿がいきいきとして素敵です。他に、毘沙門天の面を横に被って、花模様、足元には毘の文字あしらった浴衣で躍る『軍神ちゃんとよばないで』虎千代、そしてミニでフリルな今風浴衣も可愛らしい『村ドル』からあおい、紅子のアイドルペアでありますよ。
『大家さんは思春期!』は、熊川さんの扱いが残念で、いやもう、少女小説家熊野はにぃのイメージが、出会うと見事にぶっこわれる。マユが大ファンだったんですね。それだけに、熊川さん見て、魂抜けるレベルでショック受けるんですね。見るからにおっさん。サインを貰うとなれば、目の前でげっぷ。って、そら、おっさん、あかんよ。イメージあえて壊そうとしてるとしか思えない。発想の源泉とかね、それがおかしかった。文字だけで読むと普通に受け入れられることが、おっさんビジュアル前にすると受け付けない。けど、熊川さんのそのビジュアルあってのことなのか、ひどい仕打ちの数々が創作意欲に転化する。ああ、なるほどなあと、納得するものもあったのでした。しかし、最後のマユちゃん、あれはよかったな。
『ダ・ヴィンチ系女子高生』は、前回出会った女流画家、ソフォニスバについて皆で調べるんですね。古代カルタゴの女性の名前に由来する、ということから、進歩的な家だったのだろうと推測される。順風満帆と思える人生を歩んだ女性で、けれど黒中みどりの出会った頃は、まだこれと芽が出てなかった頃なんでしょうか。友人のアナ・デ・メンドーサをモデルに絵を描いている、のはいいんだけど、この人もまたなにかぶっとんだ人だな。今回明らかになったソフォニスバの夢もなんともいえんへんてこさで、結婚の目的は、男性の裸体モデルが欲しいからなのか! ミケランジェロに師事したことがあった。システィナ礼拝堂の天井画、あれが裸祭りというのね、いや、もう、確かにそうなんですが、おかしかったですよ。
『宅飲み残念乙女ズ』、今回はてつ子の話。帰省してた、というわけで、髪を黒く染めたりして、ええ、実家が堅い家だっていうんですね。父官僚、兄医者、姉弁護士、母元大学教授、っていうんです。家族写真見ると、てつ子だけ異質。画風が違うとまでいわれるのか。できる兄姉の下に、ひとりできない妹で、母もついに匙を投げてしまった。てつ子のいう素麺の価値観とかもね、ああ、とにかくこの子は自分の家の普通に馴染まなかったんだなあ。そんな風に思われて、なんとも侘びしくあったのでした。けれど、そのてつ子と相容れない家、家族、そう思われたのが、実はそうでもない。兄も姉も、てつ子が楽しく暮らしてるようならそれでいい、その生き方、暮らしぶりをちゃんと尊重してくれている。ええ、暖かい家族なんじゃないの? そうも思えるラストに、いつか歩み寄ったりする日もくるのかな、なんて思わされたのですね。不思議な余韻が心地良かったです。
『教壇のポラリス』、よいですね。大きなお家と憧れていた、その豪邸のお嬢様が琴音ちゃんでありました。そのお家で勉強会。天川先生も誘われて、そこでの対話が実によかったです。大量のスイカに、木星を思う。木星のエピソードが、人と人のぶつかって、それではじめてわかるものもある、そういった話に繋っていくんですね。先生の昔のこと。人とぶつかるのが怖かったころ。けど、その頃の後悔が琴音の言葉で和らいでいく。琴音の親への思い、周囲からの無理解に傷ついてきた過去が語られて、そして天川先生への憧れに辿り着くなんて、ほんと、丁寧にエピソードを繋いで、心に沁みる、そんな展開、本当に素敵だったと思います。先生、よかったですね。先生、迷いながら、怖れながらだったけど、報われましたね。
- 『まんがタイムファミリー』第32巻第10号(2014年10月号)
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