2011年1月2日日曜日

はる×どり

 『はる×どり』、穏やかな漫画でした。3年生に進級した白木はると八坂京子、そして住吉花子、彼女らの高校生活最後の一年を描くのですが、はる、京子は受験生、確かに受験間近ともなれば多少は悩んだり迷ったりもあるのだけれど、しかし驚くほどに穏やかで、この穏やかさの源泉は、あきらかにはるをはじめとする登場人物の性格であるでしょう。はる、とにかくのんびり、穏やかなお嬢さん。京子はしっかりしてるのだけど、やっぱりはるの友達だけあって、かりかりしたりするようなことまるでなし。はなはというと、アイドル志望、なんだか変に堂々と自信たっぷりで、見ていて気持ちいいくらい。こうした三人に、浮世離れした下級生、櫛田恵が加わって、それはそれはのんびり穏やかな空間ができあがるのであります。

でも、こうした彼女ら、ただなにごともなくのんびり暮らしているってんじゃなくてですね、皆がそれぞれに頑張っているとわかる、それだからこそよかったって思うのですね。京子はもともと成績がいいから、特段心配するようなこともなくって、けれどはるがその京子と同じ大学にいくなんていっちゃう。はる、授業中、寝てばっかりいる。絶対無理だろう、レベルが違いすぎるだろう。そういわれながらも、頑張る。やればできる、そんな子だけれど、奇跡のような伸び方はしない。だから、できることを、できるぶんだけ、ちょっとずつ、一歩一歩目標への距離を埋めようとする、そんなテンポで頑張っていくんですね。今日はもう終わり残りは明日、ではなくて、もうちょっとできそうな分を頑張る。予習して、基礎をやって、勉強会に出て、時には京ちゃんに頼ったりもして、でも自分でできることは自分でやろうとしてる。そんなはるは立派だな。そう思えるからこそ、時に居眠りしちゃったりしても、あーあ、でも頑張ってるもんな、暖かく見守ろう、そんな気分になってしまうんですね。

面白いのは花子なんだと思います。妙に自信たっぷり、無茶なこと、できそうにないようなことでもいかにもできそうにいっちゃう。だけど成績は悪い。進級が危ぶまれるほど!? そうした逆境を得意の歌とダンスでなんとかする、きっとアイドルになるんだなんていっちゃって、でも私、それただ夢を語ってるだけかと思ってたんです。現実逃避みたいに思ってたんですね。したらですよ、この子もやれること考えて、ちゃんと一歩一歩、目的に向かって進んでいたんです。いや、もう、頑張ってるなあ。それこそ表紙に見えるはると京子、前へ前へと歩いていこうとするその様子は、自分で決めた目標、夢に向かって進んでいこうと頑張る彼女らの姿勢、それを表しているんだろうなって、そんなこと思わされる内容を持つ漫画なのです。

春、桜の爛漫と咲く中を、ふたり、気取らず、伸びやかに歩いていく。それはほのぼのとして、愛らしく、希望というものを感じさせる。とてもよい表紙、そして彼女らの歩みのゆきついた先、そのすがすがしく晴れやかな気持ちといったら、なかなかにあるものではないと思えるほどのものでした。

  • 渡真仁『はる×どり』(まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2010年。

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