先日、『ダーティペア』のOVAシリーズを見たときの感想で、正直がっかりしたというような話をしていました。これ、せっかくあがったテンションが下がったというのも問題だったのですが、それとはまた別に問題がありまして、それは『ダーティペア』の続編(?)というべき『ダーティペアFLASH』に対する不安がいや増したということです。というのはですね、『ダーティペアFLASH』がリリースされた当時、私はアニメ誌を一誌購読していまして、このアニメが紹介された誌面を見てなんじゃこりゃ、と思った記憶が今なお残っているからなのです。ええーっ、するに事欠いて『ダーティペア』をこんなかたちでリメイクかよ! みたいに思ったことを覚えています。
ファンというのは保守的なものですからね。まあ、人にもよるとは思うのですが、自分にとって思い入れのあるものを変な風に改変されて、それがどうにも我慢ならなかったという経験のひとつやふたつは誰しもあると思うんですが、そんなんだったら嫌だなと思ったわけですよ。けれど、『ダーティペアFLASH』がリリースされてからすでに十年以上の月日が経ってるわけです。だから、心機一転新たな気持ちで見れば、これはこれでいいんじゃないだろうかという期待もわいてきていましてね、このへんの心境は『ダーティペア』のDVD-BOXが発売されると知ったときにいっていたとおりです。
で、この期待というか希望に対してですね、OVAシリーズが冷や水を浴びせたってわけですよ。
『FLASH』の感想。最初、コンピュータが大阪弁でしゃべってるのを聞いたとき、こりゃもう駄目だと思いまして、見るのやめようというところをすんででとめて、とりあえず最後まで見よう、せめて第1話だけでも見ようと思いとどめたのでした。ってのはですね、私、大阪弁キャラって嫌いなんですよ。一体いつからマニア向けアニメには大阪弁キャラ必須みたいになったんでしょう。あの、一体いつのどこの大阪で話されとんねんといいたくなる変な大阪弁。大阪へのいびつな視線、歪曲された先入観で糊塗された大阪弁キャラクターは大嫌いなんです。もちろんすべての大阪弁キャラがおかしいわけじゃなく、まともなのもあります。けど、あのコンピュータに関しては駄目だろう。ほんと、最悪だと思いました。
ほんでまたユリのキャラクターが最悪。デート優先で仕事をさぼるってなんじゃらほいっ。そりゃ駄目だろー、ってアニメ見てストレスためても仕方ないんですが、こういうところ、私は変に真面目で駄目だと思います。やるべきことをやらない。そのために発生する問題については私は許容できないみたいです。というわけで、私はこのアニメの主役二人、ケイもユリも許容できないと思ったんです。その時点では。
結局、一気に全6話を見てしまいました。それで、『FLASH』の最初のシリーズというのは、相性も悪くパートナーシップなんて欠けらもない仕事に対して不真面目な二人が、さまざまな事件、出会いを通して自省し、ペアとして成立するまでのストーリーであるということを理解しました。だから、これが元の『ダーティペア』ファンに受けが悪いという理由もわかったように思います。『ダーティペア』の面白さは、困難な事件にケイとユリ、そしてムギとナンモがそのチームワークでもって取り組み乗り切るというそこにあったわけで、対して『FLASH』はというと、そうした状況に至るまでを描いている。面白さ、見どころが違うわけです。『ダーティペア』はすでにできあがったチームの活躍を、『FLASH』は成長しようとする二人の物語を、それぞれ違った風に楽しむアニメであるというわけです。
『FLASH』、面白かったですよ。あの時点で見るのをやめなくてよかった。表現としては妙に甘くて、シビアさに欠ける部分も多かったように思うけれど(レーザーブレード振り回して服だけばらばらになるというのはやめようよ……)、けれどそうした部分は『FLASH』に関しては本分ではないのでしょう。あくまでも不完全な二人が、反発しながらも互いの価値を見いだし、そしてチームとなるという、そういう信頼の形成をテーマにしていたのだと思います。ライト感覚かもは知れませんが、よく取り扱って、6話の間、だれずに話をうまく取り回して、私は結構好きな感じ。ええ、『ダーティペア』という名前のバリューに負けず、うまく取り組んで、『FLASH』なりのよさというものを作り上げるのに成功しているとそんな風に思っています。
ただちょっと謎なところ一点。第1話においてですね、ユリとケイが不断着から戦闘着(?)に着替えるシーンがあるんですが、これがブレスレットの機能でもって一気に変身といったような塩梅なのですが、これってバンクシーンですよね。で、ケイのバンクはきちんとフルに使われているんですが(あの胸を強調するところでおえーっとなったのは内緒)、ユリのは途中でキャンセルされるんですね。このとき、私は、なんだよー、変身ものかよー、って辟易したのですが、驚いたことにこのバンク、その後一度も現れません。まるでこのスーツ装着の設定がなかったかのように現れません。
これって、変身ものっぽく見せるためのひっかけだったんでしょうか? あるいはユリにもきちんと変身シーケンスが用意されていたんだけど、ストーリーの都合上使われずにお蔵入りになった? 『FLASH2』とか見ればわかることなのかも知れませんが、とにかく謎です。謎なのです。だって、できることならユリの変身シーンもフルで見たいじゃないですか(えーっ、結局嫌いじゃないんじゃん!)。
- ダーティペアFLASH 1st STAGE
- ダーティペアFLASH 2nd STAGE
- ダーティペアFLASH2 1st STAGE
- ダーティペアFLASH2 2nd STAGE
- ダーティペアFLASH3 1st STAGE
- ダーティペアFLASH3 2nd STAGE
- 高千穂遙『天使の憂鬱 — ダーティペアFLASH』第1巻 (ハヤカワ文庫) 東京:早川書房,1999年。
- 高千穂遙『天使の微笑 — ダーティペアFLASH』第2巻 (ハヤカワ文庫) 東京:早川書房,1999年。
- 高千穂遙『天使の悪戯 — ダーティペアFLASH』第3巻 (ハヤカワ文庫) 東京:早川書房,1999年。
関連
- 『ダーティペア コンプリートアートワークス』(ENTERTAINMENT ARCHIVE SERIES) 東京:新紀元社.2006年。
- ダーティペア VOL.1
- ダーティペア VOL.2
- ダーティペア VOL.3
- ダーティペア VOL.4
- ダーティペア VOL.5
- ダーティペア VOL.6
- ダーティペア VOL.7
- ダーティペア VOL.8
- オリジナルTV版 ダーティペア「ラブリーエンジェルより愛をこめて」
- オリジナル新ビデオシリーズ ダーティペア VOL.1
- オリジナル新ビデオシリーズ ダーティペア VOL.2
- オリジナル新ビデオシリーズ ダーティペア VOL.3
- オリジナル新ビデオシリーズ ダーティペア VOL.4
- オリジナル新ビデオシリーズ ダーティペア VOL.5
小説
- 高千穂遙『ダーティペアの大冒険』(ハヤカワ文庫) 東京:早川書房,1980年。
- 高千穂遙『ダーティペアの大逆転』(ハヤカワ文庫) 東京:早川書房,1988年。
- 高千穂遙『ダーティペアの大乱戦』(ハヤカワ文庫) 東京:早川書房,1989年。
- 高千穂遙『ダーティペアの大脱走』(ハヤカワ文庫) 東京:早川書房,1995年。
- 高千穂遙『ダーティペアの大復活』東京:早川書房,2004年。
- 高千穂遙『ダーティペアの大征服』東京:早川書房,2006年。
- 高千穂遙『ダーティペア外伝 独裁者の遺産』(ハヤカワ文庫) 東京:早川書房,2001年。
- 高千穂遙『ドルロイの嵐 — クラッシャージョウ別巻』東京:朝日ソノラマ,2003年。
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