2006年12月24日日曜日

悲しい色やね

 『悲しい色やね』では実は二回目。以前これで書いたときは、たしか人に会って、カラオケにいったその日だったんじゃなかったか。割りと受けたんですね。もともと好きな曲で、楽譜を前にピアノで練習し、ギターに持ち替えてからもまた練習してきた、その練習の成果が出たようです。けど、レコードは持っていないといっていました。欲しいと思ったことは何度もあったんだけど、その度にたくさんあるバージョンのどれを買ったらよいものかわからず断念してきた。そう、私の人生において『悲しい色やね』は断念の歴史を持っているのです。だから、iTunes Storeでのフリーダウンロードコードを手にして、なにをダウンロードしたものか大いに迷ったときに、これをと思った。いつかアルバムで手にしたいと思う日がくるかも知れないと思いながらも、それでも今もっておきたいと思ったのです。

これをダウンロードしたのは果たして正解だったのかどうなのか。アレンジはジャズの色がかかった派手なもの。コーラスなんかも入ってる。正直なところいいますと、こういうアレンジはあんまり好きじゃありません。もっと素朴なほうがいいと思った。特に、この曲に関しては。ブルースまでとはいわないけれど、声がそのまま届くような、そんな距離で歌われていると思えるような、そういう感じで聴きたい歌だと思っています。

けど、駄目だとはもちろん思わない。やっぱりいい曲だと思います。上田正樹は一体どれだけこの曲を歌ってきたんでしょう。最近テレビで聞いたものとはまったく違って、だからといって昔聴いたものとも違うと思うんです。その時々の、経てきた時間や歌われる機会の違いによって、まったく違ったように歌われる、そんな曲になっているのだと思います。上田正樹といえばこれだと思う。だけど、そのひとつのイメージにとらわれることなく、自由闊達に変容しながら歌い継がれていく、そういう歌のひとつの着地地点が私の聴いたそれぞれ異なる『悲しい色やね』なのかも知れないですね。

私は、この歌はもうスタンダードの域に達していると思います。歌う人、それぞれの背負った背景の違いによっていくらでも姿を変えて歌われる歌。姿は違えども、大本に流れる歌の本質は変わらない、そういうベースになるような広がりを持った歌であると思っています。だから、私もいつかしっかりとこれを歌えるようになりたいものだと思うのです。歌に負けないだけの背景を持ちたいものだと思うのです。

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