2005年12月8日木曜日

Boy’sたいむ

 Cinema Baton企画も終わって、今日から通常営業に戻ります。Cinema Baton期間中に出版されていた四コマコミックについて書こうかと思います。

『Boy’sたいむ』は、ちょっとした手違いから男子寮に入ることとなってしまった女の子、葉山ひろむが主人公のギャグコメディ。ええーっ、そんなことあるわけないよ、なんて非現実的な話なんだ、といいたいところですが、とりあえず同じようなシチュエーションの漫画、ちょっと考えればいくつでも出てきそうです。って、最初に出るのが男の子が女装して女子寮(あるいは女子校)に入るのばっかりというのもなんですな。そういう意味では、『Boy’sたいむ』は逆パターンで希少なのかも知れません。

藤凪かおるは今四コマ漫画誌に複数連載を持っていて、そのひとつが『Boy’sたいむ』であるわけですが、絵柄も可愛く、四コマとしても面白くで、結構期待できそうな作家じゃのうと思っていた矢先の単行本出版です。貧乏暮らしの一家の頭である兄とその恋愛模様が楽しい『パニクリぐらし☆』に、重度の男性恐怖症であるヒロインがおかしい『ひめくらす』。私が好きなのは『パニクリぐらし☆』ですが、『Boy’sたいむ』も悪くないなあ、そんな感じに思っています。

『Boy’sたいむ』は、どたばたとした印象をしっかりとだしながら、その実うまくまとまっているから読みやすくて、 — けどちょっとまとまりすぎてる嫌いもあって、そのせいか食い足りなさを感じることもあるんですが、全体にしっくりとして無茶をしないから最低ラインは保証されている。そんな感じの漫画です。

ホームランをがんがん打っていくタイプというよりも、ヒット性の当たりを大切にする、そういう作風なんだと思います。スター性よりも堅実な職人風、人によっては地味に感じるだろうし、漫画にダイナミズムを求める人は物足りないというかも知れませんが、けどこういうしっかりとした作家に光が当たるのは、私が地味好みということを差し引いても、よいことだと思います。

  • 藤凪かおる『Boy’sたいむ』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2005年。
  • 以下続刊

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