2005年12月7日水曜日

モンスター・イン・ザ・クローゼット / 暗闇の悪魔

 サンフランシスコ郊外の町で発生する謎の連続殺人事件。完全なる犯罪に誰もが怖れを抱き、しかし犯人は依然として不明のままだ。謎の殺人犯とはいったい何者なのか。

犯人……、犯人は、クローゼットからあらわれる謎のモンスター。クローゼット間を点々と移動しながら人間を襲い、その強さは半端ではない。軍が出動してなお取り押さえることのできない凶悪な殺人モンスターを前に、我々人類はその存亡を賭けた対モンスター大作戦を決行する — 。

以上が『モンスター・イン・ザ・クローゼット』のあらすじです。常識をはるかに越えた捕食者の出現に町はパニックになり、いや混乱は町だけにとどまらず、全米、いや全世界にまで広がって、しかしこれをホラーと見るかどうかはちょっと微妙なところで、というのは、きっとこの映画を見終わった頃には私たちはモンスターにこそ憐れみを感じてしまうに違いないからなのです。

私がこの映画を見たのは、確かテレビ大阪が日曜の日中二時とかに放送しているような、そんな気付かれにくい時間帯での放映で、よく見落とすことがなかったものだと、自分の注意力に感謝したい気持ちでいっぱいです。こうした日中の映画は、視聴率をとりにくい、あんまり話題にならなかった佳作とか昔の名画とか、そういうのが多いですよね。なら、『モンスター・イン・ザ・クローゼット』は前者でしょう。

私はこの映画がDVD化されてるだなんてまったく思わず、今回調べてみて驚いてしまいました。なんと、リリースされてるんです。その価格は税込みで4,935円! 買ったやついるのか!? じゃなくて、惜しい、絶版になる前に気付いていたら、欲しいと思ったかも知れないのに。

『モンスター・イン・ザ・クローゼット』は、せいぜいB級、あるいはそれ以下と見るのが妥当な評価でありますが、それがこうしてリリースされているというのは、あの名もないモンスターがいかに愛されていたかという証拠であると思うのです。

あの、人類の大反攻作戦に追いつめられたモンスターの姿。無人のビル街、行き場を失ったモンスターはついに倒れて、人類の勝利が確定した瞬間です。ですが、この物悲しさはなんだろう。私は、この人を襲う凶悪な殺人モンスターにいつしか感情移入していたとでもいうのでしょうか。いや、あるいはそれは滅びゆくものに感じる哀しさであったのかも知れません。

余談ですが、この映画にもなんだか変な日本が出てきて、それは世界的大反攻作戦にワンカット挿入される小シーンに過ぎないのですが、あのインパクトも忘れることができません。

もし、今、ハリウッドプライス1,500円とかでこの映画がリリースされたら、きっと私は欲しいと思います。出てくれないものかと、はかない期待をしてしまいます。

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