2005年12月27日火曜日

えむの王国

 今月のまんがタイムKRコミックスは『ドージンワーク』、『まゆかのダーリン!』、『えむの王国』と、いったいどれで書いたらいいんだと迷うラインナップで、迷うというのは決してこれでも書きたい、あれでも書きたい、というわけじゃないというのが微妙です。でも、『まゆかのダーリン!』はついこのあいだ触れたところであるし、じゃあどっちか。となると『えむの王国』かなあ。

ちなみに私は基本的に持っているものでしか書かないようにしているので、つまり全部、三冊とも買っています。いやあ、マニアの淵は深く、足抜けはちょっと厳しくなりつつありますな。

『えむの王国』は『まんがタイムきららMAX』という雑誌に連載されている四コマ漫画で、正直私はきららMAX創刊号を手にしたときは、もう駄目だ、撤退だ、いくらなんでもこれはやり過ぎだろうと思い、けど今は普通に読んでいるのですから、人間の環境に順応しようとする力には恐れ入ります。MAXのなにが駄目かと思ったかというと、そのラインナップのあまりの偏りで、おたく向けマニア向けを狙ったのだろうとは思うのですが、あんまりに読みどころがないと感じた。いや、今となっては結構全部ちゃんと読んでるのですが、とにかく最初は取り付く島もないと思ったものでした。

そんななか、なんとかこれはよいかもなあと思ったのは『えむの王国』で、国民の八割がマゾヒスト(被虐趣味を持つ人のこと、って解説はいりませんよね)によって構成されているカスティーナ王国を舞台に、ヒロイン王女シャルロットの活躍(というか戸惑いか)を描いたハートウォーミング作品。ここまで書いて、なんだかくらくらしてきました。

とかいいますが、読んでれば結構面白いんですよ(じゃなきゃ買いませんし)。結局、一人まともなシャルロットがまわりの暴走する人たちに振り回されるどたばたのコメディというわけでして、しまいにはマゾヒストだけでなくサディストやレズビアンも出てきて、で、それも国民全体がとかその民すべてがとかそういう極端さで出てきて、こういうナンセンスを許容できるかでこの漫画の評価は大きく変わるんじゃないかと思います(で、私は許容できたんでしょう)。

そんな感じで私は結構気に入って読んでいるのですが、一点残念に思うところがあって、それは百合の人が出てくるところの話で、今を時めくハードゲイの人をちょろっと使っているところがあって、こういう一過性のネタを使うと、後で振り返ったときの風化っぷりが痛々しい。ほら、消費者金融のチワワがブームになったことがありますが、あれを取り入れた四コマ漫画は今もうすでに痛々しく、今ではないですね、もうずいぶん前から見ていてつらさがしみてきます。ごはんだけでもおいしいわ(ほら風化した)ってことですわ。

蛇足

シャルロットとシンシアのカップルはいいですね。でも、百合の人が一番いいと思います。えっと、エリィさんでしたか。実は、単行本で見るまで、その存在を忘れていたというのは内緒です。

  • 中平凱『えむの王国』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2005年。
  • 以下続刊

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