2005年12月5日月曜日

じゃりン子チエ

 『じゃりン子チエ』のアニメは、関西に育った人なら何度も再放送で見たことがあるんじゃないかと思います。ホルモン屋を切り盛りする薄幸の美少女竹本チエちゃんとその親父テツ。そして逃げた女房ヨシ江はんの、どことなく水臭くて、けど本当のところはものすごく濃厚なつながりができあがっている様が気持ちよくって嬉しくなります。濃いのはなにも親子三人だけでなく、破綻家族を見守る地域との絆も半端ではない。おばあはん、おじいはん。お好み焼き屋、カルメラ兄弟、そして忘れちゃならない花井先生。ああ、お巡りさんもいたっけね。チエちゃんを取り巻く人間関係は、誰もがどこか駄目だったり無茶だったりするけれど、大事なものはしっかり持っているから、私はこのアニメがとにかく好きだったのでした。

『じゃりン子チエ』の劇場版アニメ。残念ながら私は劇場ではこのアニメ、見たことがないんだけど、でもテレビでは何度も観て、LDも買った。LDはDVDとは比較にならないくらい高くて、けど買った。それくらい好きだったのだと思ってくださるとありがたいです。

どこが好きかなのかは、最初にもいったとおり。人間模様の豊かさ。私は関西は関西でも京都のはずれ育ちで、それこそチエちゃんの暮らす通天閣を見あげる界隈のような濃厚な人間付き合いはありませんでしたが、それでもなにしろ昭和ですからね。近所、地域のつきあいというのはありました。

今から思えば、ずいぶんと煩わしいこともあったんじゃないかと思います。ですが、それでも地域ぐるみでわれわれ子供をかまってくれたりというのは普通にあって、地蔵盆とかそういうのも楽しかった。地域ぐるみというのはえてして排他的で、こうしたものが悪く働けば私が敵のように思っている世間そのものになるのだろうけれど、それでもよい部分はあったのだと、この映画見ればそう感じます。

Cinema Batonの問4、愛する人とみたい映画に『じゃりン子チエ』を選んだのは、私が育った時代の空気を、この映画をとおして知って欲しいと思ったからかも知れません。同じような時代に育った人なら、きっと積もる話もあるでしょう。もし違う世界で育ったならば、私のメンタリティの基礎を知ってもらういい機会です。でも、本当はそんなことが理由じゃなくて、大人になりきれないテツが、それでもチエちゃんを好きでしかたがないことや、両親がうまくいかないことを子供ながらに気に病んで、仲を取り持とうとするチエちゃんのけなげさを見て、胸に込み上げるものがあればそれを誰かと分かち合いたい。

そういうことなのだろうと思うのです。

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