2010年7月10日土曜日

『まんがタイムきらら』2010年8月号

『まんがタイムきらら』2010年8月号、昨日の続きです。

『≒ — ニア・イコール』、これまでは鏡の向こうの世界、翔の周辺がメインに描かれてきたけれど、今回は椿姫の周辺が描かれることとなって、しかしこれは思いもしない展開となりました。私はてっきりこの人は、周囲に馴染めず、それこそひきこもるように、身を潜めて暮らしているのだと思っていたのだけれど、とんでもない。すごくできた子じゃないか。でも、これは非常にまずい頑張り方。生徒会では頼りにされ、部活においても活躍して、けれどそうした虚像を築くことで、本当の自分を隠しているっていうね。これ、決めつけるのはなんだけれど、子供の頃、ただただ愛されたという、そんな体験が希薄なんじゃないか。できる自分、結果を出せる自分じゃないと愛されない。そういう思いを積み重ねてきた結果が、自分の駄目さ、弱さを見せられない今に繋がってるんじゃないか。

頑張ることで愛される、そうした環境で、負けることができない戦いを続けている人は、いつか能力気力体力の限界を迎えて、倒れていくってことが多いんです。すべてがそうじゃないけれど、登校拒否やスチューデント・アパシーの原因になったりする。そうなんだろうなあ、椿姫は今まさにその倒れる直前の地点に達してるんだろうなあ。私は翔の意見には賛同しないけれど、椿姫の置かれてる状況、その問題はわかる気がする。駄目な子でも、弱い子でも、失敗したり、期待に応えられなかったりしても、それでも椿姫のことが好きだよと、君の価値はそこなわれてなんかいないよ、そういってくれる相手、そして、そうと実感させてくれる誰かが必要なんだろうな、そんなこと思ったのでした。

『うさかめコンボ!』、七月といえば七夕、ということで鬼ごっこですよ。って、なんで鬼ごっこ? いや、楽しいからいいのだけど。というわけで、生徒会メンバーと全生徒の壮大な鬼ごっことあいなるのですが、このダイナミックな鬼ごっこ状況、めちゃくちゃ面白いです。これは、前作『こどもすまいる!』では描けないタイプの大騒ぎでありますね。登場人が高校生、ひとりひとりを思いっきり動かせるからこそのダイナミズム。追い詰める、狙撃する、そして必殺技。無茶なんだけれどもさ、その無茶を無茶として楽しませてくれるだけの勢いがあるから、読んでいて気持ちよくって、これはいいよ、すごくいいよと思えるのです。しかし酷い目にあっているさっちん。この人、なんだか好きですよ。すっかりお気に入りです。

三者三葉』、扉絵見て最終回かと思って、おののきました。いつもキュートな双葉、しかし今回はいつも以上に可愛くて、って、どうした中身が変わってしまったか!? いや、桜に批判されたのか。しかし、女の子ぶる双葉、あの小鳥さんのお喋りのコマなんて、もう禍々しくて最高で、女子力なんのといいながら、そうした風潮にうんうんうなずいて受け入れたりしてない、クールな視線みたいなものが感じられて、いやもうしびれました。こうしたものの裏側の、演技というか演出というかの曝露? このスタンス。わりきっちゃって開き直っちゃった、そうした印象がひしひし感じられて最高です。しかして、女子力ゼロの双葉、これが一番可愛く魅力的でございますな!

『アイオーンコード』、超能力学園ものでありますが、その各人の能力、うまく使って話に絡めているなと感心して読みました。過去を見る能力、予知能力、強運。どれも無駄遣いされてるような感じがするんですが、とりわけヒロインの能力、過去見の魔眼アイオーンが役にたってない。いや、便利なんだけれど、けどすごくちんまい使われ方しかしてないのね。名前とかさ、ものすごく大げさなのがついてるのに、そんなしょうもない用途に! 落差に笑ってしまうんですね。さて、今回は先生の能力が明らかになったわけですが、金の斧銀の斧ライアーライアー、人の嘘を見抜くんだそうですが、地味でがっかりしてるとかいってるんだけど、これ、地味ながらも強力ですよ。相手の本音を見抜くことができる。ものすごく交渉有利じゃないか。などと思って、いや実際、これ過去見よりずっと強力なんじゃないのかと思ったりしたんですね。

ところでどうでもいいんだけど、この大げさな能力名、実はちょっと恥ずかしいです。その恥ずかしさも味のうち、って感じではありますけどね。

最後に一言だけ。『うぃずりず』、爺さんが死んでしまいそうで、怖いです!

  • 『まんがタイムきらら』第8巻第8号(2010年8月号)

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