『すいーとるーむ?』が『まんがタイム』に掲載されたその一回目、お、これは! と思ったものでした。建築の職場、新入社員の永井君を待っていたのは、厳しくそして優しい先輩ゆかりさん。面倒見よいおねえさんタイプ、有能でしっかりもので、きれいで色っぽくて、それにいい匂いがする(いや、ごめん。そこまではわかりません)。けど、ただひとつ変わっていたのは、ゆかりさんは会社に住んでいるのです。寮やなんかじゃない、宿直でもない。オフィスの隅に私物を持ち込み、自分のプライベートスペースを作っている。そんな会社にひきこもり系OLゆかりさんと、頼りないわりに妄想が暴走しがちな永井君の、どきどきオフィス生活が始まります。
といっても、永井君は仕事が終わったら家に帰るのですが。なので、夜の会社はゆかりさんの王国で、パジャマでくつろぎ、パソコンでテレビ見たりDVD見たりゲームしたり、そんなのびのびとした様がなんだかほほ笑ましいのだけど、ほほ笑ましいのは主にゆかりさんにまつわる部分。永井君にまつわる部分は、なんか厳しいなあ。特にお姉さまがたが。世情に疎く夢見がち、どこか危機意識に欠けるうえ、うかつな一言も多いせいで、めちゃくちゃなもの売りつけられそうになったり、見るも恥ずかしい手芸品押し付けられたり、お得意先には買いたたかれてみたりと、どうにもこうにもひどい目に遭ってばかりの永井君なんですが、そこがいいんです。やっぱり男の子は、厳しくも優しいお姉さまに、一癖も二癖もあるお姉さまにかわいがられてなんぼだと思うものですから。
塩田さんとセールスの娘さんに愛情や優しさはない感じだけど、それをいったらゆかりさんでさえ愛情はないようだけど、そういう逆境の中、ひとり頑張る、そして空回りする永井君が見ていて可愛いなあと。君いい加減に学習したまえよと思いながらも、賢くなっちゃったら面白くないから、本心ではずっとそのままの君でいてと思っている。仕事に関しても、頑張って、成長して、ゆかりさんの負担を支えてあげられるようになって、なおそこで粗忽なミスをするような、そういうキャラであって欲しい。永遠の弟分といいますか、頼りなさの抜け切らない後輩でいられるあいだは、そうあり続けて欲しいものだと思っています。だってそうじゃないと、ゆかりさんの出番がなくなっちゃう。ええ、永井君の最大の功績は、ゆかりさんや美好さん、素敵なお姉さまがたのシビアでしかし愛嬌のある素顔を引きだすところにあるのですから(しかし、そのシビアさに気付いてないってとこがまた永井君のよさよね)。
ところで、屋上での飲み会で発覚した、妙にプリティーな部長の特技、鼻でソバを食べるですが、もしかしたら目でピーナッツを噛めたりもするのでしょうか!? 今後も部長からは目が離せません!
- 東屋めめ『すいーとるーむ?』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2008年。
- 以下続刊
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