2008年1月27日日曜日

ウォーキング with ダイナソー — 恐竜時代 太古の海へ

 ウォーキング with ダイナソー』のシリーズも、『BBC ウォーキング with ダイナソー&モンスター DVD-BOX』で一段落です。『恐竜時代 太古の海へ』と『前恐竜時代 巨大生物の誕生』を一箱にまとめてリリースされたもの、まずは『太古の海へ』を見てみました。

『太古の海へ』は『ウォーキング with ダイナソー — タイムスリップ! 恐竜時代』の続編といったほうがよいかと思うのですが、ナイジェル・マーヴェン先生が古代の海へと赴き、凶悪な海洋生物を見て回るという、実に単純明快なストーリー。けどナイジェルファンにとっては、このわかりやすさがなにより嬉しいものであるのではないかと思います。

内容は過去のものよりもまして充実。三部構成で七つの時代の海にいくという贅沢な作りであります。巡る順番は時系列なんて単純なもんではありません。なんと、危険ランキングに基づいてカウントダウンしていくというスタイルをとっていて、先へ進むにしたがってどんどん危険になっていくという、まあこれも単純といえば単純ですが、さすがナイジェル、エンターテイメントをよく理解しておいでです。

危険という点でいえば、現代の海だってたいがい危険なんです。サメやシャチといった危険生物、大きなものでは10メートル近いものがいるといいますね。こんなのにぱくっとやられたらそれだけで致命的ですが、ナイジェルはこれら以上に凶悪な生物を求めてタイムトリップを敢行して、その危険度合は第1話時点で非常識級なんですが、それがこの先どんどんエスカレートしていくのかと思うと、わくわくするというべきかはたまた思いやられるというべきか、実に微妙な気分です。

この海のシリーズには、『驚異の恐竜王国』で紹介されていた海の爬虫類、リオプレウロドンも登場します。リアリティに関しては絶品だと大絶賛していたやつでありますね。大気よりも透過性で劣る水中の映像、そこに陸上の生物よりものっぺりとして作りやすそうな水棲生物を泳がせるわけですから、その存在感は現存生物を撮影してきたのかと見まごうほどにいや増して、もう半端ではありません。巨大魚にナイジェルが近づくシーンでは、個体表面についた傷も実にリアルで、本物の魚みたいですからね。ただ大きさが半端でない。人も丸のみしそうなやつらがごろごろいて、さらにそれを捕食するやつがいて、その捕食者がナイジェルのターゲットなんですね。

『太古の海へ』は『ウォーキング with』シリーズの集大成なのではないかと思います。よりリアルな映像、水棲生物に絞って展開される映像世界は扱われる時代といい表現といい幅広く、そして案内役のナイジェルの面目躍如です。ナイジェル、やりたい放題。オルドビス紀では打ちあげられた魚や三葉虫の死骸をおとりにターゲットを引き寄せ、しかしこんなのはほんの序の口。デボン紀に至っては、おとりの魚を現地調達ですよ。ナイジェルほどの人になれば、タイムパラドックスなどまったく考慮する必要がないのです。ばんばん釣り上げて、巨大甲冑魚ダンクレオステウスをおびき寄せるのですが、これが凶悪。けれどこれでランキング5位。冗談じゃない。ランキング3位のメガロドンは、現代のサメがかわいく見えるくらいで、なにしろそのあごの標本、ホオジロザメのあごが人をすっぽり通せそうなサイズにとどまるのに対し、メガロドンのそれは歩いて通れるほどの大きさです。そいつをおびき出すためにナイジェルたちのとった方法は、細切れにした魚をコマセにして海にどんどん流すという方法。その魚どっから調達したんだ。また釣ったのか? それとも現代から持っていったのか? とにかくナイジェルの傍若無人が光ります。加えてナイジェルの性質ですよ。巨大生物を見ればとにかく一緒に泳ぎたくて仕方がない、さらには近づきたくなるという性格、果敢というよりも無謀なチャレンジの数々が肝を冷やしてくれるのですね。

とはいっても、私もわかってるんです、これらは結局はフィクションだって。ナイジェルのチャレンジは、アニマトロニクスとCGによって実現されているものだって。けれどそれでも、うわー、とのまれてしまう映像のすごさです。これ、事前の説明なしで見せられたら、実際の映像と思ってもおかしくない。わかっていてもはらはらするくらいですからね。常識外れの生き物を、あたかも現実かと思わせる常識外れの映像の力。これは見ないと損だわ。海洋生物もしくは古代生物が好きという人間にとっては、必見の作であると思います。もう何時間でも見ていたいほどに魅力的、むしろこれだけでは物足りないと思うくらいに引き込まれてしまうのですから。あ、ナイジェルファンにとってもそうですね。ナイジェルの無謀さは、『プレヒストリック・パーク』をはるかに上回って過激です。こんなこと続けてたらいつか死んでしまうんじゃないかと思うくらいの大活躍なのであります。

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