この三ヶ月ほど、毎週を楽しみに見ていたNHK趣味悠々『荘村清志のギターで世界の名曲を』がめでたく終了しました。駆け足のようにも思えて、もっとしっかりと見たかったなという気持ちもないではないのですが、けれどこれくらいでちょうどよかったのかなあ。私はクラシックギターに関しては聴くばかりで、習ったこともなければ間近に見るということさえもなかったから、今回の講座は勉強になりました。今私は独習で、中級編の曲にチャレンジできるくらいまでなんとかたどり着けているというくらいの位置にあるのですが、初級編のレッスンでも勉強になることはあって、やっぱり人から習うということは大きいと、それがテレビであってさえもですよ、違うなと思ったものですよ。
私はこの講座は全十二回だと思っていたんですけど、最後にもう一回、つまり第十三回目があって、それが発表会。なんだかすごくいい雰囲気の中、これまで講座にて生徒としてレッスンを受けてきた人が一曲を披露するというのですけれど、一人一人の懸命さが伝わってきてよかったなあと。確かにね、そんなにうまくないしミスもいっぱいあるんだけど、しょうがない、プロじゃないんだから。私は思うんですよ。そりゃうまくてミスがないのがいいに違いないけど、けれど楽しみとして音楽に取り組んで、それを発表するという、そういうことがなによりであるんじゃないだろうかって。音楽は、暮らしの中に楽しみとしてあるのがいい。日常の潤いとして、そしてときに緊張感をともなう発表会なんてのもあればなおさらで、自分自身を見つめ直し、鍛え、鼓舞するきっかけにもなれば重畳、同好の士との交流もまた楽しみであって、生きるということを豊かにする、そういうものだと思うのです。
発表会の模様を見ていて、生徒が一生懸命弾いてるのに荘村清志が心配そうに、けれどなんだか応援するみたいに、手を大きく動かして、そういう姿もなんだかほほ笑ましくて、けどすごいなと思ったのはやっぱり生徒さんで、よくあんな曲弾けるようにしたよね。中級の人も結構なチャレンジ、知人友人家族の前どころか全国ネットでやるというプレッシャーは格別だったと思うんですが、それでも弾ききって、ようおやりなすった。そして初級の二人がすごい、はじめて三ヶ月という話、それもこの一曲だけを三ヶ月やったわけではないでしょう。仕事もおありでしょうし。けど、なんとか弾ききって、ほんま、ようお頑張りやした。こうした、人前で弾けた、最後まで弾けたということが自信となって、前へ進み実力を押し上げるための力になっていくのだと思います。
この講座をみて、自分も頑張ろうと思えて、そういう刺戟になったこともよかったです。テキストに収録の十四曲もいい曲多くて、少しずつ弾いていきましょう。そして、またなにか機会を設けて人前で演奏したいものだと、そんな風に思います。
- 『荘村清志のギターで世界の名曲を — 今日から弾き始めよう』(NHK趣味悠々) 東京:日本放送出版協会,2007年。
2 件のコメント:
やっぱり人前で演奏するって言うのはすごく刺激的ですよね。練習もすごくするようになるし、何しろ間違っちゃったら恥ずかしいですからね。
私が今まで一番練習したのは間違いなく友人の結婚式の時にバーンとやっちゃった時なんですが、今はそういった目的が特には無いので練習にも身が入らないのは事実です。言い訳ですが。
当時は若くて機材も貧弱だったのですが、何しろ楽しかったですね。
恥ずかしいとかはなんだかあんまり思わないようになったんですが、間違えられないという気持ちはやっぱりあるから、その一回勝負にかける熱意というか真剣さは段違いだと思うんです。それで間違ったり止まったら、すまんすまん、間違えました、って笑ってすませばいい。
いや、止まるまでひどく間違えたことはさすがに久しくないですが(学生時分の試演会いらいかな?)。
本番は、背水の陣というか、独特の勢い、パワーが出るような気がします。それまでどうしてもできなかったことができたり、逆にどう考えても間違いそうにないところをとちったり。こうした恐ろしくも楽しい体験をできるというのは、本当に素晴らしいことだと思います。
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