今日は待ちに待った日でした。学研の人気シリーズ『大人の科学マガジン』第17号が発売される日だったのです。けれど、なんでそれをそんなに心待ちにしたというのでしょう。それは……、それはふろくがためなんですね。そう、ふろく。魅惑の響きではありませんか。思い起こせば私は少年だった頃に学研の科学を講読しておりまして、この雑誌、記事や特集ももちろん面白いんですが、なにより魅力的だったのは付録でありました。磁石や電球、モーターの類いを組み上げて作るギミックの面白さもあれば、日光写真なんかにもものすごく魅了されて、今から思い起こしても楽しかったなあ。あの月の終わり頃、まだかなまだかな、学研のおばちゃんまだかなと、歌にもあったように新刊の届くのを待ち焦がれた日々。そう、ここ数日の私はまさしくあの頃の私に思いを同じくしていたのです。
しかし、なにをそんなに心待ちにしたというのでしょう。それは、それはテルミンがためであったのです。
テルミン、魅惑の響き。ロシアの科学者レフ・テルミンによって発明された、世界初の電子楽器。楽器本体から伸びる二本のアンテナ、一本が音高を、もう一本が音量を司るのですが、特筆すべきはその演奏法。楽器に触れずに弾くのです。アンテナに手を近づけていくと音が鳴りはじめ、さらに近づけることで高くなっていくのです。アンテナと手の距離でもって音程をはかり、音量を調整する。その神秘性、不思議を醸し出す雰囲気も手伝って、広く知られることになりました。日本でも、今から十年ほど前かな、ちょっとしたブームになりまして、その時に知ったという人も多いでしょう。実は私もそうした一人で、興味を持ちつつも踏み込まず、けれど機会があったら手にしたいものだと思っていたのでありました。
そして、ついに機は熟したのです。なんと『大人の科学マガジン』vol. 17にはテルミンがついてくる。もちろん本格的とはいえない、小さくシンプルな、音量調節のアンテナも持たない、おもちゃじみたものであります。けれど、おもちゃだろうがなんだろうが、音が出ればそれで充分じゃないか。シュローダーはおもちゃのピアノをあんなにもうまく弾いてるし、ジョン・ケージはトイピアノのために組曲書いている。おもちゃといって馬鹿にして、はなから相手にしないなんて本当につまらないことですよ。とにかく手に入れて楽しんだものが勝ちなのです!
ということで、手に入れてみました。あまつさえ弾いてみました。
ああ、もう、楽しい! チューニングはシビアで、ちゃんとセッティングできてないと音が止まらなかったりするんですが、そのへんちゃんと調整できると、ああもう楽しい。これ、私にとっての初テルミンなんですが、いい大人がはまるのもわかりますよ。いろいろ改造しようだとか思ってたんですけど、もう我慢できなくて帰宅後、いの一番に組み立てて、チューニングに四苦八苦して、食後音出ししながらいろいろ試してみて、そして一番まともに弾けたのが『むすんでひらいて』ですよ。なんで『むすんでひらいて』!? 理由はわかりません。けど思いついたのがこれだったんだから仕方がない。ジャン=ジャック・ルソーの名曲です。
本当は、ギターアンプに出力できるようにしたいと思っていたんです。そのための改造方法もちゃんと本誌でフォローされていて、さらにはロッドアンテナとアースもつけたいなあなんて思っています。ロッドアンテナなんてどこで売ってるんだろう。寺町の電気街とかで買えるのかな? あるいはごみ捨て場でラジオとか拾ってきたらいいのかな?
ともあれ、夢広がりまくりのテルミンです。近々改造用にもう一台買うのは確定ですね。
- 『大人の科学マガジン — テルミン』vol. 17 東京:学習研究社,2007年。
2 件のコメント:
なんか私の中ではテルミンと言えばツェッペリンって事になってるんですが、面白そうですね。
ギターアンプにつなげて見たら音聞かせてください。
『大人の科学』本誌に、レッド・ツェッペリンの『狂熱のライブ』が紹介されてまして、やっぱりテルミンというとこれは外せないんだなとにまにましていました。
ギターアンプには、まあおいおいということで。というか、内蔵のスピーカーでも結構大きな音がするんですよ。そうそう、YouTubeには『むすんでひらいて』以外の曲も公開してます。よかったら聴いてみてください。
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