私は竹書房の雑誌は買っておらず(買うといよいよ破綻しそうだから)、なので竹書房系四コマの動きはまったくといっていいほどに知りません。だからもちろん『サクラ満開!!あかり組』についても知らず、それは単行本になることを知らなかったレベルでなしに、そもそもそういう漫画が連載されていたことさえ知らなかったのです。作者は藤凪かおる、『Boy’sたいむ』、『ひめくらす』、『パニクリぐらし』の人ですね。私はこの人をどうやらひいきにしているようで、というのも出ている四コマ単行本、全部揃えているわけで、だから『サクラ満開!!あかり組』も購入。どういう漫画であるかまったくわからないのに買うという、まさしく作者買いをやったわけです。
作者買いしてみてどうだったか — 。わりと面白かったです。基本的にパターンをこなす漫画であるのですが、これはこの作者のらしさともいえるところだから、気になりません。気っ風よく面倒見よく、正義感にも義理人情にも厚いという姐御肌がヒロインの九龍あかりという娘。ちょっとおせっかい、ちょっと荒っぽい、けれどさばさばとした性格ゆえかクラスメイトからの信任も厚い、組長としたわれる委員長であります。
このあかり組長が、幼なじみ(?)のマサと転校生(だった)遠山引き連れて、というかマサは勝手についてきてるだけなんですが、そういえばなんで遠山ってあんなに組長に関わってるんだろう。あかりがなんだか気があるみたいだから? そういやなんであかりは遠山のこと意識するようになったんだろう。ひょうひょうとして自己主張しない転校生と思って心配していたら、それが実はできる男だったから? 謎といえば、後半に登場する新転校生桜坂ふぶきがマサを意識してるっぽい理由がよくわからなかった。なんかバレンタインイベントでフラグが立ったみたいなんだけど、とにかくよくわからない。その後も小イベントあったけれど、マサはとにかくあかり組長一筋だから、多分あれ以上に進行することはなかったろうと思われて、不憫な娘だなあ。と、これらはどうでもいい話。
この漫画は、男気あふれるヒロインあかり組長の、正義の味方としての活躍を楽しみながら、おりに見せる乙女なところ、可愛げや恥じらいを愛でる、そんな読み方が面白いのだと思います。思いがけぬギャップにときめく、だっていくら侠気に富んだ娘といっても、もともとがキュートなヒロインなんだもの。向こう見ずで女臭さがなくて、うじうじやべたべたという感じもなくて、だからさっぱりとした女性が好きという人には魅力的なヒロインなんじゃないかなと、そんなこと思って、ほら実際のところ、公平でさっぱりとして、ぐいっと人の心を引きつけて、明るい雰囲気に引き上げてくれるような女性って、それはそれは魅力的ではないですか。私にもそんな知り合いいたなあって、タイプこそは少しずつ違うけれど、そのさっぱりとした気風でもって皆から好かれるような女性って、誰にも一人くらいは思い出せるんではないかと思うのですが、 — もしそういう人がいるのだとしたら、この漫画を楽しめる素養は充分なのではないかと思います。
- 藤凪かおる『サクラ満開!!あかり組』(バンブー・コミックス) 東京:竹書房,2007年。
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