『女子校育ち』というタイトル、掲載誌が『みこすり半劇場』というところから、いったいどんなエロ漫画なんだと思ったり思わなかったり。けれど作者は吉田美紀子で、帯を見れば4コマ史上最大の死亡者数!?
という物騒な文句もあって、いったいどういう漫画なんだ。表紙を見れば、可愛らしい女の子(といってもOL)が二人、実に華やかな感じであるのですが、中を見ればずいぶん印象が違っていて、ああ、いうならば、あの表紙は罠だな。ついでにいえば、各話扉も実に華やかな雰囲気で、けどこれも罠だな……。
罠だ罠だといっていますが、そもそも吉田美紀子は複数誌に連載を持つ四コマ作家で、もちろん私もいろいろ読んできて、その芸風は知ってるわけです。だからわかっていて罠に落ちたと、そういうわけです。
シンプルで可愛らしい絵柄で、けれどネタは妙にシュールだったり身も蓋もなかったりして、こういうところが実に私好みであるわけです。絵が可愛いといっても、いわゆる萌え絵とはちょっと違っている。だから、そういった方面を忌避される方にもお勧めなのではないかと思われます。
しかし、吉田美紀子の芸風は知っていたつもりではありましたが、なかでもこれは格別のすさみようです。帯の死亡者うんぬんという文句は伊達じゃありませんね。死体、流血の惨事が適当に出てきて、適当に扱われて、この淡々としかいいようのない雰囲気は大好きです。けど、こうしたのは結局はギャグで誇張であるわけだから笑ってすましてしまえるとしても、まれにギャグや誇張じゃないようなネタもあって、そういうのはなかなかに笑いが凍りつくようで、いや、私はこういう感覚も大好きです。
私は昔、就職試験で女学校の最終にまで残ったことがあったのですが、あの時落ちたのはよかったのかもなあと、そんな風に思わせるようなところもあって、けどよく考えたら私自身が『女子校育ち』みたいな時期を過ごしたことがあるもんだから、実際のところ平気かも知れません。うん、この漫画のネタにしても、そうそうそんな感じっていうのが多かった。実際、とんでもない話、結構聞かされたものなあ。
『女子校育ち』、いい漫画です。
- 吉田美紀子『女子校育ち』(ぶんか社コミックス) 東京:ぶんか社,2005年。
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