ああ、私、やっぱり川原泉が好きです。なんというか、シンプルな線で表現される、ちょっと世間に背を向けかけたような川原さんが好きなのです。この世に降りて飄々と戯れする御使いのような人 — 氏の単行本に見える四分の一スペースへの偏愛を隠すことのない私にとって、『小人たちが騒ぐので』は、なににもかえがたい素晴らしい贈り物となったのでした。
なんといいましょうか、そう、丸ごと一冊が川原泉。普段ならコマの端々や四分の一スペース、ちょっとしたエッセイ風後書きにしかでることのない作者川原泉が、この本ではほぼ丸ごと一冊出ずっぱり! ああ、素敵、素晴らしいですわ。と、取り乱してしまうくらい好きです。
基本的にはエッセイ漫画なんでしょうね。日常での思うことなどが、氏の独特の淡々とした筆致で描かれているのですが、やっぱり自分がテーマだからか、川原節は押さえ目です。あの、川原の書く哲学的岩波文が好きな人には物足りないかも知れない、そういう感じの希書であります。
川原節が消えていったのは、氏がオトナになったからなのではないかと思うんですね。エッセイ「若気の至り」において、昔の自分が書いた詩に恥じるという話があって、いや私はそういうぶった川原さんも好きなのです。だって、昔の単行本に見える七五調と難渋文の味わい、あれを好きだという人はきっとたくさんいらっしゃるはずで、間違いなく私もその一人なんですから。けれど、川原さんは子供の頃の勢いから遠ざかって、ちょっと距離を置いて見られるくらいにオトナになられてしまったんですね。
だから、この本は変わりゆく川原泉のサナギの頃なのでしょう。この本を経て、『ブレーメン II』で大輪の花を咲かせる。その川原さんの変態の軌跡がこの本には見られると思ったのです。
さて、自分の詩に恥ずかしがるカワハラも可愛いのですが、もう目茶苦茶可愛いのですが、NHKのジャック・フロストに感動するカワハラも可愛い、この上なく可愛いのです。光の守護聖ジュリアス様に身悶えするカワハラも可愛くて、ここでは私が身悶えします。ああ、川原さんもゲームお好きなのねえ〜。
と、本日は私の変態ぶりもちょっと見ていただきました。ええ、そうです、私はこんなやつです。ええ、本当に駄目な奴なんですから!
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