2004年11月4日木曜日

マーゴス・エレーラ

 マーゴス・エレーラはメキシコ出身の歌い手でして、歌ってる歌のほとんどは自作であるという、そういう意味では非常にオーソドックスな人であります。シックな雰囲気漂うジャズっぽい作風は、アメリカはニューヨークそしてボストンにてジャズを学んだという経歴から考えれば普通ですが、単なるジャズという感じもしないんですよね。ジャズの雰囲気もよく消化して、シンプルで力のある音楽に仕上げてられているのですから、どっしりとした音楽の土台というのがあるんだろうなと想像させるのです。

本当によい音楽ってどんななんでしょうね。と、こういう問いへの答えのひとつがマーゴス・エレーラであるのだと思うのです。

例えば私なんかが音楽を作ろうとするとどうしても理屈くさくなって、ごちゃごちゃ複雑にしてしまいます。そして悪いことにこの手の音楽は巷に溢れていて、しかも決まって音楽としての力に欠けているんですね。

それに比べてマーゴス・エレーラのシンプルにして揺るぎないこと。もちろん技巧や技術はそこかしこに見られて、音楽を洗練させていること間違いありません。ですがそういった技巧技術の前に音楽のボディがある。ボディがしっかりしているから、周りをいろいろさわったとしてもちっともへこたれることなく、受け止めて更なる魅力を発揮できるのです。詩にしても同じことで、簡潔に美しいイメージを捉えている。これがセンスといえばそれだけのことですが、このセンスを育む音楽的土壌があったのだと思います。それはきっとメキシコの古くからの音楽で、普段巷で聴かれ歌われている音楽で、それらが血に溶け込むほどに深められているのでしょう。

先達ての九月、東京と大阪にて開催されたFiesta Mexicanaでこの人のステージがあったそうでして、私はNHKのスペイン語会話でそのことを知りました。ああもっと早く知っていたら絶対聴きにいったのに、と私はいつも情報が遅くてあとから残念がるんです。

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