『まんがタイムきららMAX』2015年6月号、発売されました。表紙は『きんいろモザイク』、しのぶとアリスが手をとりあって、散歩であります。あの手の握りに見えるふたりの親密さ。アリスが指差す先にはなにがあるのか、ふたりしていってみようといわんがごとき、このふたりの穏かな様子の向こうに隠されている躍動。なにかね、わくわくさせられるものあるんですね。
今月のMAXはゲスト盛り沢山ですよ。
『ハンドスタンド!』、ハンドスタンドって逆立ちのことなのか。ゲスト第1回にして期待できそうな雰囲気ですよ、って、これ読み切り? 続かないの? 続けようよ。北海道の冬、学校にて雪かきを手伝ってるのが、本作のヒロイン、新城ななみ。ちんまくて、活発で、物怖じしない性格がすごくいい。そんな彼女が、雪の中、突き出ている足を見付けるんですね。で、すぐにスケキヨかな? もしもーし。いかすわ。スケキヨは自分も思いました。けど、屈託なく口にする彼女の積極性、ダイレクトなその様子には圧倒されて、ほんと、一発で好きになりました。そして逆立ちしてた彼女、器械体操やってた真白ゆか。時々無性になにかやりたくなる、って、それでいきなり逆立ちか! しかもスカートで! って、ななみも逆立ちか! しかもスカートで! 味わい深いわ。なんか小動物見てるみたい。そんな面白さあって、そしてななみはゆかの宙返りに魅せられて、体操部の設立にかかわっていくんですね。先輩と勘違いされるななみの風格、いかします。ほんと、ふたりの性格も対照的、それがよく表現されて、そして入部希望のふたり、乙宮いちごと春沢ひなた。いやもう、名前を先に持ってきて、名前から予想されるキャラクター、それをはずしてくる面白さ。けど、それでいちごもひなたも、いい具合にキャラクター立っていて、よくその魅力を表していて、たいへんよかったと思います。で、これが読み切り? 続かないの? 続けましょうよ。ねえ。
『がんもどきのうらおもて!』、落語ものでありますよ。アリシア、コハル、イヅナ三人娘が落語に取り組んでいます。といっても、あんまり落語一辺倒って感じではないんですけどね。金髪のアリシア、東京出身? 第2の故郷がアメリカ? 落語初心者の彼女が、デパート主催の素人演芸大会に出場することになって、高座名きめて、演目も寿限無と決めて、ええ、今回は全体を寿限無のそれでまとめてるんですね。最初どうなるのかと思ったんだけど、寝坊のアリシアに電話がかかってきて、ジュテームジュテーム。これは面白かった。遅刻のアリシア、到着までの時間をかせぐために虎丸亭イヅナが繋ぐんだけど、それがまさかのマジック。この意外さ、そして続く絵の面白さもよかった。そしてやっぱり、さすがは落語ものといったらいいのか、落ち、さげがよかったですよね。その場のアドリブでもって、見事に寿限無に沿った落ちでしめてくれる。こんなにしっかり見事に落ちをつけてくるとは思わなかった。ええ、これはとてもよかったですよ。
『フタリキリキリマイ』、キリとマイの女の子ふたり組み。夜の学校に忍び込んで、ふたりでなにかをはじめようとしている。不穏な話? と思わせたところで、どーんとアクションを持ち込んでくる。ふたり、オバケ退治をしてるんですね。格安の寮に入ってみれば、その厚遇にふさわしい任務が待っていた。学校に集まってくるオバケを退治する、そんな仕事をやるはめになって、オバケが怖いマイは大変。でもって、キリはすごい寂しがり屋で、オバケ連れて帰ったら賑やかにならないか、なんていってる。面白いふたりですよね。寮母さんなのかな、リコ姉の指示に従ってオバケを退治する。そんなふたりの新たなミッションは、朝の学校にその本性をあらわした七不思議級オバケ、関節の限界に挑戦した動きで躍る人体模型、そいつの退治なんですね。戦いは放課後。次号刮目して待て、でありますよ。
『まっ白トピック』は内気な女の子、しろちゃんの話です。幼なじみなのかな? きょーちゃんなる男の子には普通に話せるんだけど、他の人たちとなると挨拶するのもままならない。そんなしろと仲良くなろうと元気に挨拶してくれる粒良、けれどなかなかに近付いてきてくれない。悩みながら落ち込みながら、それでも諦めない粒良と、そんな粒良の気持ちに応えたいしろ、徐々に近付くその関係、しろの気持ちがちょこっと見える、そんな描写、よかったと思いますよ。それから粒良の半径3メートルを守る描写。粒良にアドバイスしたりつっこみいれてくれたりする、トリー、彼女もなかなかいいですよね。
『キミが好きなボクのカタチ』、ほう、男の子ひとりに女の子ふたりの、ちょっとしたハーレム関係? そう思ったら、あら、全員女の子なのか。幼少時代、ピンチの女の子を助けた。その時にハマっていたのがライダーで、その時に男の子と思われて、しかも恋されてしまったのがよかったのか、あるいは災いしたのか、ずっと男の子としてのあり方を期待され、しかも応えてきてしまったんですね。男装の麗人、ゆずき君。ゆずきに思いを寄せる女子は、女の子らしいアサヒにちょっとドジっ子のノノ? ゆずきは頑張って女子らしさを獲得しようと、まずはスカートを入手しようと頑張ってるんだけど、アサヒ、ノノがあの手この手でゆずきの夢を阻む! でもちょっとした歩み寄りもありそう? 最後のアサヒの様子見るに、なにかゆずきの夢もちょっと叶えられたりしそう? な感じもありますよね。
- 『まんがタイムきららMAX』第12巻第6号(2015年6月号)
0 件のコメント:
コメントを投稿