『まんがタイムきらら』2015年5月号、発売されました。表紙は『チェリーブロッサム!』、まさしく渦中の大倉山先輩でありますよ。梅雨も終わろうという時期でありましょうか。あじさいには雨の雫が玉になって、空にはもくもくと立ち上る雲が夏の気配を感じさせます。そんな空の下、大倉山先輩、石段に腰掛けて音楽を聞いていた。そこに声をかけられて、イヤフォン片耳はずしながら、なに、どうしたのと声をかけてくれているかのその表情。頬にさすほのかな赤みにドキッとさせられて、そしてその眼差しに浮かぶ疑問の気持ちとこの人の素直さ、それらがあいまって生じる意図しない色気に、目が釘付けにされる思いがします。
『チェリーブロッサム!』、大咲のダイレクト告白に、一瞬虚を突かれて、うまく飲み込めずいる大倉山先輩が実にいい感じで、一度確認して、まさか御冗談でしょう、一度牽制してみて、そして意識したらもうどうしたらいいかわからない。そんな大倉山先輩の様子に、いや大咲か、大咲の行動に穏やかでないのが沙咲野ですよ。すっかり取り乱してしまって、アイツを殺して私も死ぬぅ! 物騒なこといいはじめて、けどそれを兄貴がしっかりいさめるんですね。いやもう大変ですよ。沙咲野大泣き、三葉貰い泣き、ひーちゃんは割と普通で、この三者三様の反応の中、気持ちをどうにも整理できずにいる大倉山先輩。先輩はどんな答を出すんだろう。姉介入もあって、どうにも波乱は避けられない? そして大咲。もうなにも怖くないといったところか、自分の気持ち、思いを伝えることに躊躇がなくなって、もうまったくのどストレートアプローチ。しびれました。ええ、大咲、やってくれました。
『へんまんが』、ゲストです。橘彩乃は編集部所属の女の子。なんと、桜岡高校には漫画研究部とともに編集部なる部活があるというのですか。それで、編集部員は隣の漫研に踏み込んで、ネームの催促して、厳しくリテイクを出すというんですね。しかし、これ、不思議なもんだな。これはつまり、編集部が漫研部誌の編集、刊行を担ってるってことでいいのかな? ともあれ、あまりにやりすぎるせいで、漫研クラッシャーと呼ばれているらしい彩乃。そんな彼女を訊ねてやってきたのが、漫研新人日野川花。ドサッと分厚いネームの束を持ち込んで、それを彩乃に見せればあら不思議、花の描いた漫画の世界に花、彩乃ともども入り込んで、軽く冒険させられるというんですね。ドラゴンが出る、魔物が出る、そんな世界でのサバイバル、かと思えば、漫画の描写、展開につっこみ、リテイクも忘れない。まあ、それが原因でピンチに陥ったりしてるんですからおかしいんですけどね。しかし、これはつまるところ、毎回花が漫画を持ち込んで、その世界を彩乃とともに渡り歩く、そうした展開が待っているんでしょうか。ちょっとしたシュールさともなう、そんな感触、悪くなかったです。
『サクランボッチ』、新連載です。友達のいない女の子、木之花桜。無口、無表情、地味な女の子で、けれど決して本人はそうしたつもりではないっていうんですね。笑顔のつもりでいるその表情が誤解を招いたり、そしていろいろ絡んでくるライバルっぽい女の子、八乙女さんも軽くいなされちゃって、でも木之花さんとしては、そういうつもりではないんだろうなあ。教師から頼まれた資料室への本の返却、それがきっかけとなった出会い。文芸部の先輩、たったひとりの部活で、けどあんまり熱心な部活ではないようで、そうしたノリを木之花さんに厳しくいましめられたり、そして一人ぼっちは嫌という言葉に共感覚えられたり。ええ、先輩のちょっとした試み、ヘアピンのプレゼントで木之花さんの雰囲気も和らいで、それでクラスの子からも声をかけて貰えて、それが嬉しかった。それで文芸部にも入ろう、そう思うにいたったっていうんですね。照れ屋の桜。彼女と、ちょっと押しの強い先輩、小紫花陽。あ、桜に紫陽花が揃った。扉を見れば続いて部員も入ってくること予感させますけど、皆、花にまつわる名前の持ち主みたいですね。
『ふとんのようせい』、ゲストです。冬用のふとんを用意しようと思ったら、布団圧縮袋から出てきたのは、ふとんならぬ女の子。なんと、ふとんの妖精だというんですね。大切なふとんが女の子になって、それが愛によるものなら、辛辣にあたったらもとの布団に戻るだろうか。確かに人の姿になったけれど、ふとんの時と同様、一緒に寝ればいい、そういわれて寝てみるも、すごく不便そう。人嫌いのヒロインが、安らぎの相棒だった布団に枕、それらに愛情を注いだ結果、苦手な人の姿になってしまったという不運。けれどそれでも、なんだかだんだんふとんの妖精にかたくなな気持ち溶かされていって、ええ、また違った姿の布団にも、以前同様愛情を注げる日もそう遠くないかも知れませんね。
- 『まんがタイムきらら』第13巻第5号(2015年5月号)
0 件のコメント:
コメントを投稿