2015年4月17日金曜日

『まんがタイムファミリー』2015年6月号

『まんがタイムファミリー』2015年6月号、発売されました。表紙は『大家さんは思春期!』をがつんとメインに持ってきまして、これはどうやら修学旅行? 制服着たチエちゃん、大きなカバンを持って、手には旅のしおり。生き生き溌剌としたその表情、とてもいいですよ。他には『ゆーたいプレイ』メインのふたりも制服姿で旅のしおり。タケが旗持って、ゆきのそばには幽霊がついてるんですね。そして『カラフルぶらぱん』、白いワンピースに大きなトランク。おお、なんだかお嬢様っぽい旅装でありますよ。

『カラフルぶらぱん』は、前回はアキの恋心、今回は西井姫香にスポットが当たりまして、ああ、芹沢ナツのことが好き。挨拶するのも精一杯。勇気を振り絞っての挨拶に、ナツはクールに応えるのみ、というんだけど、実はナツの方がよっぽど大変なことになっているっていうんですね。姫香、アキとナツの仲を疑ってみたりね、そしてナツのことを好きという相手のこと聞かされて、それで混乱しちゃったりね。いや、まあ、それは本当は心配する必要ないんだけどね。姫香、ケイコに相談しにいくも不在。店長さんと話をして、そして作谷。うわー、やばいのきちゃった、と思ったら、あれ、今回はわりと普通に販売に繋げちゃってるよ? びっくりしましたよ。それからが面白かったです。店にね、泣きながら3回戻ってくる。その涙のわけがだんだんに変わっていくところ、少しずつ状況や抱いている感情が違っていくところ、切々と伝わるよさ持っていて、たいへんよかったです。しかしそれでもこの子、ナツには誤解されたままなんですよね。前途多難っぽくて大変ですよね。

『かなみ育成中!』、面白いなあ。叶美、漫画家の娘なんだけれど、絵はうまくない。なのに、親の職業知ってる先生からはやたら期待されていて……、つらい、つらいな、これ。弟たちに絵をせがまれるも、駄目だ駄目だと否定されるのがつらくて、少しでもうまくなりたかった。ゆえに美術を選択、なんだそうですが、いじらしいなあ、叶美。叶美の口から語られる、漫画家の資質とか厳しい現実とか、なんだろうこの迫力。めちゃくちゃ面白かったです。そして結の絵のうまさ。最後のね、男同士のあの絵がね、そういう趣味が発揮されてる!? なんて思わされるものあって、いやもう、見事、素敵でした。あれを見た男子、その反応が気になっちゃいますよね。

『ひかり!出発進行』、面白かったなあ。雪が積もって、そこからはじまるいろんな車輌の話。ラッセル車を皮切りに、マルチプルタイタンパー、ってレールの歪みを直すの? 自分の理解だと、バラストを突き固めるやつなんだがな、と思って調べたら、ああ、なるほど、バラストを突き固める、その目的がレールの歪みを直すためだというのか。正確には保線機械であって車輌じゃない。って、厳しいな。あのひかりの、リフトを鉄道だと言う男がこれは機械だと惜しむ…、って感想、妙におかしくて、そして太郎の風評被害。いい流れでした。そしてひかりの設置した、いろんな車輌紹介パネル。あれ、すごくいいと思う。あんなのがあったら、すごく面白いと思います。ここからがぐっときたのでした。幸せってどうして泣きたくなるのかな? ひかりの疑問に、いつものお客さん、優しいお婆ちゃんが答えて曰く、いつかこの時間は終わるんだって気付いているから切なくなるの。胸を突かれる思いがしました。自分はこの悲しさを、もう数年もずっと抱えていて、ああ、そういうことだったかと、この言葉にはっきりと理解させられて、深く息をつきましたよ。そしてこの漫画も、終わりを予感させる、そんな描写を見せてくれて、ああ、ひかりの卒業まであと一年。これからが彼女の、駅長としての最後の一年というわけなのですね。

『ダ・ヴィンチ系女子高生』は、美術品が焼かれている、そんなフィレンツェに立ち会うクロナカからですよ。にこやかに、ほがらかに、自分の描いた絵を火に投げ込んでいくボッティチェリ。これもひとつの信仰であったり、思想であったり、なのだろうなあとは思うんだけど、控えめにいっても狂気を感じさせるところあって、いやもう、すごい時代があったのだなあ。けれど、現代に帰った黒中が図書館にて調べていた焚書の歴史。本も図書館も燃やされまくり。ああ、ほんとそうですよね。古代から中世から近代から現代から、世界各地、あっちの国でもこっちの国でも、私らの少し上の世代でも、さらにはまさしく現在進行形の破壊も当然あって、ああ、ほんと、文化なるものはそれを守ろうとしないかぎり、簡単に失われてしまうのだなあと、痛烈に感じさせられる話ですよ。先生のね、理解する焚書。知識は体制を打ち壊す武器になるから。黒中の思っている焚書。いかがわしいものを排除。どちらも真実ですよね。けれど先生の理解には重みがあって、知識は生きていく上で、あらゆる力を与えてくれるものだからね。実感させられます。知ること、そして実践すること。それがこの漫画では、継続して描かれてきているのかも知れないなあと、あらためて思わされて、しかし今回はそうしたことがより力もって押し出されていた、そう感じたのでした。

  • 『まんがタイムファミリー』第33巻第6号(2015年6月号)

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