2015年4月3日金曜日

『まんがホーム』2015年5月号

『まんがホーム』2015年5月号、昨日の続きです。

『孔明のヨメ。』は孔明の過去が垣間見えて、苦労人とは思っていたけれど、それがもう本当に、若いころからというのだから大変です。豚の解体の練習、けれど孔明は見事な解体の技術を持っていて、それは彼の苦労の歴史あってというのですね。苦労を前にして、決して腐らず、努力を惜しまずにいた彼の性格と、そして非凡さ、それがこうして豚の解体に、あるいは日々発揮される能力に結実しているというわけなんですね。そうした過去を知らなかった月英。父黄承彦は人づたえに聞いて知ってはいて、このことを月英に話さずにきた孔明のこと、そっとフォローするのでした。ああ、この義父も、そしてこの妻もとてもいい。さて物語はまたもうひとつの動きを見せて、徐庶が知らず劉備と決定的な接触を果たし、そしてまた新たな重要登場人物とも邂逅。ほんと、物語が動くと不安になってしまうのは、彼らの未来に待ち受ける事実、それを知っているからなんでしょうけれど、ほんと、この動きはいよいよとめることなどできないものになっていくのでしょうね。

『宇宙ファラオ☆パトラちゃん』、皆でファミレスにいきます。パトラちゃんにとってははじめてのファミレス。なるほど、似たような施設はパトラの星にもあったのね。まあ、そうだろうなあ。ファミレスでの風景、面白かったですよ。というか、のあたちの母が酷い。パトラにえらいこと吹き込んで、右往左往させる。お子様ランチに心ひかれるパトラがよかったですよ。ええ、子供のうちにお子様ランチには挑戦しておくべきなんです。そしてパトラたちの隣りのテーブルにいた人たちが懐かしい。ええ、みんな元気にしてるみたいでよかったですよ。

『シネマちっくキネ子さん』。キネ子と大八が見ていた古いフィルム。そこに出ていた男優がキネ子の祖父、川島映三と判明して、しかしなんという変わりよう。そして共演の女優。それが映三の妻、すなわちキネ子の祖母なのでは、という大八に、実はおばあちゃんの本名知らないのだよ、ってそれもすごいなキネ子さん。そしておばあちゃん登場。うおお、すげえ。この人もまたまた思いっきり違ってしまったもんだ。しかもキャラクターが強烈で、オメェはだれだコノ! って、なんというインパクト。あまりの衝撃に、大八が事実を知ったことを後悔する。そんな中、映三の妻に対する独占欲あり、キネ子の大八に向ける視線あり、そして映三とピア子の出会いですよ。ああ、映三。ああ、酷いおっさんだ。ピア子に若き日の妻の面影を見て、そして妻を死んだことにして大接近。ああ、あかんおっさんです。

『マチ姉さんの妄想アワー』。このあいだ、twitterで昔話やら童話やらをシニカルなパロディにする大喜利がはやったのでした。私ね、それを見るたびに、ああ、これを面白がっている人たちにこの漫画がどうか届かないものか、そう思ってしかたがなくって、いやね、だって、この漫画はいつもいつも、よくもこんなことを思い付かれたな! 驚かされたり感心させられたりの連続で、ほんととにもかくにも面白い。twitterの昔話パロディにも、それはそれはと思わせる面白いものありました。けれど、そうした面白いものに出会うごとに、安堂友子はその面白さのさらに上をいっているんだぞ、そういう気持ちがふつふつと湧いたのですね。ああ、自分はどんだけこの人のこと好きなのだろう。というわけで、今回も面白くって、とりわけ今回はかぐや姫がよかったです。人の気持ちの移ろい、不信もあれば陰口もある。そうした状況を一発大逆転して見せるかぐや姫の喜びときたら、ほんと、ナンセンスとかシニカルとか、そういう気持ちより先に、わかるー! 共感がくるのだからすごい。ええ、見事見返してやったぞ! こうした気持ち、あるいは見返してやりたいものだなあ、という思い、それがかぐやを通して果たされたかのような気持ちになったのですね。

  • 『まんがホーム』第29巻第5号(2015年5月号)

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