2015年4月24日金曜日

『まんがタイムきららフォワード』2015年6月号

 『まんがタイムきららフォワード』2015年6月号、発売されました。表紙は『夢喰いメリー』、メリーがドーナツくわえて、いよいよ旅立ち? かたわらにはカートがあるんですね。そのカートの上に、帽子被ってマント着たジョン・ドゥ、ちょこんと座ってましてね、これがなんだか妙に愛らしいのであります。しかしメリーさん、なんか希望感じさせるような表情、その意気軒昂とした様、実にメリーさんらしいのであります。そして他に『あんハピ♪』、『きんいろモザイク』、『がっこうぐらし!』のカットがございます。

『ようこそ幻界集落へ!』、また新たな試みでありますね。村の魅力を伝えるべく、PVを作りましょう。そもそも情報発信がなされていない、とのふみからの指摘を受けてのビデオ制作。もちろん幻獣なんかも映っちゃうわけですが、そのあたりは追い追い考えましょう。といった、結構ないきあたりばったり、体当たり的手法でやっちゃうんですね。自称アイドルのトウカ、いいですよね。手が羽。ハーピーなんですね。見た目に愛らしい彼女、それはいいのだけど、ああー、歌はあれなのか。そうだった、ハーピーはうるさく耳障りな鳴き声を持つんでしたっけ。そうしたところ、ちゃんと解説されるところ面白く、そして歌のうまいのはセイレーン。ここで明かされるヒスイの歌の秘密。ああー、メッセージソングだったんですね……。今回のエピソード、村人それぞれが、それぞれの能力を使って、村に貢献してる様が描写されたところ、この村のなりたち、それが見えて、いいですね、この村独特の社会が垣間見えた、そんな気がします。しかし、ビデオのでき、あの方向性のおかしさ、いい落ちになっていて、そして新たな登場人物。なにか波乱を予感させますよね。

『バミれ、みどりちゃん!』、突然の雨に、雨宿りすることになった翠といつき。バス停で雨宿りしているその間、翠の入った演劇部のこと話したりしまして、そして今度やる劇、さるかに合戦の稽古とか、ちょっとしちゃうんですね。見えてくる翠といつきのアプローチの違い。というか、翠、直球すぎだよ! むしろ劇中の登場人物、その内面など探ろうとするいつきの方が正攻法と思われて、しかしその違いが、どちらも誤りではないのだとされた後半の展開、ああ、これは見事だったなあ。絢子先輩がいう、演技の条件は一つじゃない、という言葉。さまざまなアプローチ法があっていい。そうした自由さ、可能性の広がり感じさせるところなど実によく、ああ、そうした言葉が通じて、いつきも演劇に挑戦しよう、そんな気持ちになったというのですか。って、いや、ちょっと待て。若干だましうちっぽくもあるよね? ともあれ、部員がひとり増えました。多様な個性の集まり。その層がさらに厚くなって、ええ、他の部員との絡み、楽しみですよ。

『ルイは友を呼ぶ』、なにやら不穏な雰囲気ですね。レイナに気に入られたルイ。お招きを受けて、というか、むしろ強引に屋敷に連れていかれることになるんですが、このレイナという人、なにか普通じゃなさそうな描かれ方。また、ルイ同様に強引に招待されたEランクの面々、ネルとミア。どうも、ミアにレイナとの因縁ありそうな感じなんですね。メイドのアイリから、もう関わらない約束だったと釘を刺される。さらにはミアの様子、明らかに警戒していて、加えて昔の思い出、レイナは屈託なくミアに話し掛けているわけだけれど、ミアにとってはそんな気持ちではいられない、といった雰囲気濃厚で、ええ、やっぱり不穏であります。レイナはなんであんなにもルイのこと気に入ってる、あるいは執着? しているのか。ミアとレイナの関係は修復された? っぽいんですが、一方で、屋敷の中で迷っているルイ。彼女、なにかとんでもないもの見付けちゃいそうで、ハラハラしますよね。

『嘘と命題と20の質問』、これ、よくできてたなあ。弁論部に所属するふたり。2年生の女子、藤崎さんは数学が苦手で、それを部長が教えてくれようというんですが、なかなかこれがうまくいかない。命題、論理学でありますよね、そいつをうまく扱えなくて、命題に対する対偶、そして逆に裏。先輩の説明に追い付けなくて、そうした藤崎の様子を見て、部長、頭の体操、ゲームをしようと持ち掛けるんですね。20の質問。ルールが説明されて、なるほど、一度だけ嘘で答えることができるのか。ここからが、ほんと、よくできてました。質問を通して、彼、彼女、ふたりのこれまでが静かに物語られる。出会いの風景があり、その時の気持ちがあり、そして、藤崎の後悔、さらには部長の気持ちに踏み込んでいこうとする。その踏み込みに、部長一瞬怯んで、そして答えるその一言に、彼の思いの透けて見えるというその描写は、本当に丁寧で、美しかったと思います。シンプルな構図。けれどそれを細やかな筆致で描いて、繊細な心の動きを浮き上がらせた。大変よかったです。まいりました。

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