2014年7月13日日曜日

くまみこ

 『くまみこ』という漫画はとある掲示板で知ったんですね。最初はヒロインが可愛いと。次いでクマが優秀と。しかしそれだけではどんな漫画かさっぱりわからん。なのでタイトルで検索してみたら、pixivにて試し読みができるじゃありませんか。読みましたよ、第1話。いや、ほんと、これ、めちゃくちゃ面白いな。女の子が可愛いのはすぐにわかった。クマが優秀というのも読め進めれば確かによくわかって、なるほどなあ。いや、ほんと、こいつはいい漫画でありますよ。

舞台は、古い因習の残る東北の寒村。かつてその地にはアイヌがおったものか、クマを神として祀る、そんな風習があるんですね。登場人物は、熊を祀る巫女である雨宿まち。そしてまちの相棒、ヒグマのナツ。このふたり、いやひとりと一匹か、がメインで話は進行するのですが、基本はおしゃべり、しかしなぜそれがそんなに面白い? ほんと、ふたりともにいいキャラクターしていて、あかんたれのまち、世故に長けたナツ、というか、ナツ、お前さん、なんでそんなにもいろいろに詳しいの? ほんと、謎すぎる。謎すぎるんだけど、ふたりの対話、飄々としたナツの雰囲気があんまりにも面白いものだから、謎とかどうでもよくなりますわな。いや、ほんと、一度読み始めると、ぐいぐい引き込まれるようにして読み進めて、気がついたら読了している、そんな類の漫画です。もう、つべこべいわずに読みたまえよ、そういう他ない漫画であります。

しかし、ほんと、キャラクターが生きてるよなあ。人見知りであかんたれで、けれど内弁慶のまち。この子、わりとろくでもないことしでかしたりするんだけど、でもどうにもこうにもちょろくって、ナツがたいてい一枚上手をいく。そのしたたかなナツの、保護者のようで、友達のようで、そうしたあたたかさが溢れているのが実にいい。まちは、こんな田舎はもう嫌だ、なんていっちゃうんだけど、クマと人の、本来ならあり得ない、そんな関係がほのぼのと描かれて、実に魅力的で、そしてこのふたり以外の登場人物、村人たちも面白おかしく、味わい深くできている。

ええ、これは人とその関係が面白い、そういう類の漫画でありますよ。

  • 吉元ますめ『くまみこ』第1巻 (MFコミックス フラッパーシリーズ) 東京:KADOKAWA/メディアファクトリー,2013年。
  • 吉元ますめ『くまみこ』第2巻 (MFコミックス フラッパーシリーズ) 東京:KADOKAWA/メディアファクトリー,2014年。
  • 以下続刊

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