話題の雑誌、『週刊文春』2013年6月13日号は本日発売です。なんで話題? なにが話題? 夏の参院選がらみですよ。居酒屋チェーンで有名なワタミグループ、その創業者にして会長、渡辺美樹氏についての特集が掲載されていまして、端的にいいますと、ワタミグループはいわゆるブラック企業なのではないか。渡辺美樹会長が自民党から参院選に打って出るとなって、ブラック企業ワタミの会長を公認するだなんて!? うわっとショックが広がり、実際自民党にも苦情がたくさん寄せられてるんだそうですね。そうした批判や非難に対し渡辺会長が、ワタミはブラック企業ではないと反論されたこともあって、とにかく注目のトピックに育ってしまっていた。そうしたところに批判記事が投入されたわけでしょう。わーっと一気に話題になって、あちらこちらで取り沙汰されてるんですね。
批判の内容に関しては、twitterにて要約をtweetされた方(NPO法人POSSE雑誌編集部・坂倉昇平さん)がいらっしゃったので、それらtweetsを以下に引用します。
今週の週刊文春すごいね。ワタミの入社内定者向け小冊子には「「休日」とは「与えられるもの」ではありません」「休みがあっても、自分の意志で出勤する社員もいます」と書いてあるという。元ワタミ社員も「休日といっても、“任意に”研修に出席して、渡辺氏の著書を読まされる」と告白している。
— NPO法人POSSE雑誌編集部・坂倉昇平さん (@magazine_posse) 2013年6月6日
今週の週刊文春に掲載された元ワタミ社員の告白。集会や早朝研修で着用義務の「ワタミブレザー」やレポートの課題用の渡辺会長の本を買わされた。渡辺美樹氏が代表理事を務める発展途上国の教育支援団体に、ワタミ入社の際に半ば強制的に申し込まされ、会費など月千円〜三千円が給料から天引きされる。
— NPO法人POSSE雑誌編集部・坂倉昇平さん (@magazine_posse) 2013年6月6日
今週の週刊文春、元ワタミ社員の告白。「ワタミの場合、その日の売上目標から逆算して人件費の額が決められている…売上が少ない日は、人件費を抑えるため、社員がただ働きすることもある。私は三年いましたが、午前七時からの『早朝研修』やミーティングの後も営業し、三十六時間寝ないのがザラ」
— NPO法人POSSE雑誌編集部・坂倉昇平さん (@magazine_posse) 2013年6月6日
これで過労自殺を出しておいて、「労務管理に問題はない」とかよく言うよ…。「〇八年の入社説明会では、ワタミ社員から「労働組合はつくってはならない」という指示があった」「新入社員が理由を聞いたところ、社員は『必要ない。不満はすぐ上に伝えるから』と答えていました」(週刊文春6/13号)
— NPO法人POSSE雑誌編集部・坂倉昇平さん (@magazine_posse) 2013年6月6日
要約だけを読んでわかったつもりになるのもなんなので、『週刊文春』、買ってみました。記事は149ページから151ページまで、3ページだけなんですが、けっこうしっかりとした内容。ワタミの退職者からの聞き取りや渡辺美樹会長自身がこれまでに書いたり話したりした内容、それらを豊富に取り上げて、なるほど、どういう状況にあるのか、その雰囲気がよくわかります。よくワタミはカルト的だといわれたりしますが、そういわれる理由もよくわかった。あの理念集なるものや、内定者に配られたという質疑応答小冊子、そこに記されたワタミにおける常識、その特異性。研修等で、この常識を社員に叩き込んでいくわけですね。そうした手法や、宗教や自己啓発セミナーを思わせる情景、イベントで、みんなで涙を流しながら「よかったね」と言っている会社
といったものなどひっくるめて、この会社、このグループの内部は、なにか私の常識では推し量れないようなことになっているなと思わされたわけです。
会長は、ワタミグループはブラック企業ではない、そう反論されますが、けれど自分には到底そうは思えず、だからやっぱりきっちり批判しておくことは重要だろう、そう思っています。それは、ワタミという企業や会長をただただ叩けばいいというのではなく、ブラック企業といわれるような会社の実践やその経営者が弄する詭弁に対して、ちゃんとノーを突き付けていく。もっと違う社会のありかたを望み、よりよい社会状況を模索していかないといけない。私たちの社会や私たちの生活、私たち自身を守るために、きちんと問題を問題として認識し、考えていかないといけない、と思ったのですね。
ところで『週刊文春』という雑誌、普段は読まないんですが、これはいったいどういう層をターゲットにしてるんでしょう。なんかセンスや雰囲気がずいぶんおっさんくさいというか、なんか自分はターゲットじゃないなあっていうアウェイ感がものすごかったのですが……。ともあれ、該当の記事に対しては、なんらかの反応を示しておきたい。こうした問題に意識を向けている人間がいるのだと、きちんと反応を届けたいと思います。
- 『週刊文春』第55巻第23号(2013年6月13日号)
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