『月刊アフタヌーン』2010年2月号、買っています。今月の表紙は『友達100人できるかな』。ちょうど単行本2巻が発売されたところだからでしょうね。なんか、『アフタヌーン』が少年誌みたいに見えますですよ? しかし、これ人気あるのでしょうか。だとしたら嬉しいななんて思います。友達100人できないと地球滅亡なんて、えらく大仰な前提があったりするのですが、内容はなかなかにストレートな友情もの。読んでいて、そのストレートさにがつんとやられること、実に多いのですね。ええ、今月もがつんとやられましたよ。
『いもうとデイズ』。前回読んでない人の中には、今回の冒頭、兄さんの回想を誤解してしまったりする人も出たりするんじゃないだろうか、なんて思ってしまう、ちょっとセンセーショナルな出だしであります。
それはそうとして、今回は新しい先生が登場。見た目に可愛らしい。けれど、中身は結構打算的。それはリアルなのかどうなのか。しかし、こうした内面に気付いて、妨害工作講じるまりかちゃんのアグレッシブさ、また計画の確かさも素晴しい。子供だと思ってあなどってたら、やられちゃうよっていう、そんなところが素敵です。
しかし、ぶりっ子先生の泣き落しに陥落する男衆のだらしなさが描かれる反面、お兄さんはちっとも騙されたりすることなくて、こういう余裕のある、あるいはがっついてないところ。これがお兄さんの魅力なんだろうなって思います。ディアナに対する兄さんは、小さな身内としての妹を心配して慈しんでいるっていうことが、しっかり伝わってくるようで、それゆえに安心して読めるのだと思うのですね。
しかし、女性慣れしてるってことなんだろうと思うんだけど、そんなに胸がでかくなったのっていつから?
なんて真正面から聞けるのは、もはや才能だと思います。
『百舌谷さん逆上する』、とても素晴しかった。フォーカスが当たってるのは、百舌谷さんというよりかむしろ千鶴なんだけど、千鶴の百舌谷さんに対する辛辣な視線やいらつきがあって、そしてかつて百舌谷さんを取材した父から聞き出す百舌谷さんの過去があって。それが本当に素晴しかったのです。
策略めぐらす百舌谷さん。状況を自分の意のままにすべく暗躍する。その狡猾さ、残酷さが彼女の魅力で、そしてこうした策謀の描きかたに篠房六郎の魅力があるのだと再認識するかの思いです。屋上から見下ろす百舌谷さんの冷たい視線。それまでの、可愛さを演じていた彼女との落差がすごい。もう、素敵。こういう展開を待ってたんだ! と思うほどに素晴しかったです。
しかし、百舌谷さんが狡知に長けているという、そんなシーンを描きながら、それだけではない、彼女の真実は別にあるのだと匂わせる。そうしたところがとてもよかったです。こうしたところが描かれるから、百舌谷さんが救われてくれればいいなと思えるのかも知れません。そして千鶴の作戦は、百舌谷さんをどのような状況に押しやるのか。予想できない展開に、わくわくする思いがとまりません。
でもって、韮沢合歓ちゃん。いい子だなあ。私、この子、大好きです。
- 『月刊アフタヌーン』第24巻第2号(2010年2月号)
引用
- 井上ユキ「いもうとデイズ」,『月刊アフタヌーン』第24巻第2号(2010年2月号),824頁。
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