2009年12月24日木曜日

『まんがタイムきららフォワード』2010年2月号

 『まんがタイムきららフォワード』、2010年2月号発売です。表紙はモクソン。屋外、ヘッドホン装備、背にはギターケース。実に寒そう。冬の夜、星空。頬、鼻、手の赤さが凛とした冬の空気を感じさせる。だなんて思わせるイラストですが、けれど同時に暖かみも感じさせるのは、モクソンの表情、絵のタッチのためでしょう。この号の発売はクリスマスイブ。そんなちょっと特別な日の夜の、冬が底を打ち、春に向かおうとする日の夜の、寒くとも暖かさを感じさせる、そうした雰囲気を反映させるかのような表紙です。

純真ミラクル100%』は、オクソンが移籍を決定。所長は動揺し、そして二宮さんはシリアスに。しかし、二宮さんがモクソンのこと好きなのはいいんだけど、モクソンは二宮さんのこと、恋愛相手として好きってわけじゃなかったような気がする、それこそ二宮さんの勘違いにかぎりなく近いような状況だったわけだけれど、そうした気持ちの温度の違いみたいなのがあきらかになる日がくるんでしょうか。私は二宮さんが好きなので、この人の傷ついたりするところは見たくないなって思います。でも、もたもたしてた工藤さんはちょっと泣くことになるような気がする。なんか、こういう人間関係の紆余曲折が面白いですね。

『恋愛専科』、新連載です。女子校で教えることになった主人公が受け持つことになったクラスは、恋愛専科。ちょっと特殊な生徒を集めて、男に愛される女性に育てあげるんだそうです。むむむ。で、担任を落としなさいと、そういう話のようなんですが、むむむ。絵や雰囲気とかはそう嫌いではないけれど、このプロットはなんだかハーレム系のゲーム思わせる感じ。最近、こういう設定の漫画読んでなかったから、ちょっと入り込みにくいです。とりあえず評価は先送りです。

『大江山流護身術道場』、連載になりました。以前の読み切りの時に、あの雰囲気はちとつらいといってましたが、おそらくそういう感想が多かったんでしょうね。ずいぶんとやわらぎました。以前のような過剰とも思える暴力描写はなくなって、身を守るための心得を身につけて、小さなトラブルを防いでレベルアップをはかろう、そんな印象が強くなりました。で、最後に次回の敵なのか、最後にやってくるだろうボスなのか、わからんのだけど、やばそうなのが出てきて、というかこれまでも充分にやばそうなのばっかりだったんだけど、少しずつ敵も強くなっていきますよ、そんな予告がなされているといった具合です。

『トランジスタティーセット — 電気街路図』、なんかやばい出だしだよ。いや、あの小道具ですぐわかったんだけど、でもそれにしてもいかがわしい雰囲気演出しています。新登場、かがみのお父さん。変人、変態。でも別れた妻に熱く愛を語るところはかなりよかったです。でもこの人、測るのが好きなだけで、太ったとかどうとかいうのは、あんまり意味がないんですね。あるがままの状態って感じで受け入れてるようで、わりと好印象。そして、この人にとっての測るという意味。素敵! いや、いいじゃん。お母さん、復縁しちゃいなさいよ。ちょっと方向こそ微妙だけど、ナイスロマンチストじゃないかと、結構気に入ってしまった模様です。

『少女素数』は、雰囲気のあるラストに、ああいいなと思って、そしてこの漫画はストーリーとかドラマとかをではなく、あんずとすみれというふたりの少女の、少女という時期の美しさ、それをただただ写し取ろうとしている、そういうものなのかもと思ったりしたのでした。子供っぽいといわれながら、大人っぽさにも憧れる。そのどちらでもなく、しかしどちらにもなりうるような、曖昧なあやうさ感じさせるふたり。そんな時期のスケッチなのかと。いずれ失われる、そんな季節のスナップなのかと。なんて思ったりしたのでした。

しかし、今回の見どころはヒゲ剃った兄貴さんだと思います。なんてこった、ちょっといい男。素敵といわれて頬染める。ああ、なんか可愛い兄さんだなって思いましたとさ。ところで兄さん、桐生さんだって妖精ですよとか思いながら口にしないだなんて、いったいどういうことでしょう。私なら、さしずめふたりが妖精なら、あなたは女神ですよくらいは、かまわないでいってしまう。兄さんも、思ったままいっちゃえばよかったのに。

ところで、272ページなんかがそうなんですが、あんずの笑い方、あの口の開き方。なんか思い出させるな、と思ったら、ああわかった、川原泉だ。ちょっとすっきりしました。

据次タカシの憂鬱』。前回、これからどうなるんだろうとか思ってはらはらしてたけど、おおい、普通にいつもどおりじゃん。いかす。さすがタカシ。私の心を弄び、自在に振り回してくれます。でもって今回は野球をするっていうのですが、いつものように勘違いしたライバルが出現して、この決着はライバル怪我で退場しかないよなあと思ってたら、やられました、主人公も怪我で退場。これは予想外。そして途中、千鶴さんがタカシの代わりに出りゃいいじゃん、と思ったら、それもそのとおりに運んで、おお、私の考えなどお見通しってところですよ。しかし、面白い。これ、大好きです。

『わたしたちは皆おっぱい』、再びゲストです。これ、タイトルなんとかならんかなあ。なんか、躊躇するんですけど。今回は、新しい友人ができて、けれど互いに誤解してたことが判明して、どう向き合えばいいかわからなくなってという、実に王道といえる展開でありました。誤解中のハイテンション、コメディタッチのバタバタわあわあやってた雰囲気と、誤解発覚後のシリアスそのものといった雰囲気の落差がすごくて、しかしだからこそひきつけるものがあったのだと思うのですね。いったん諦めたかと思わせて、いや諦められない、一歩踏み出して手をとって、そして対話。しみじみとした語りから、一気に感情をあふさせるところなど、とてもよかったです。誤解を超えて友情が深まる、それは典型といえばそのとおりで、しかしこれが王道となるだけの理由はあるな、そんなこと思わせる力の入ったシーンでした。

しかし、タイトルがなあ。これ、単行本になったとしても、ちょっと書店で注文とかしにくいよ? とかいいながら、もうこのタイトルじゃなきゃあな、とも思っているから不思議です。

引用

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