『魔法少女☆皇れおん(仮)』は女装少年ものであるのですが、見た目にも可愛い主人公皇れおん、しかし彼は好きで女装するわけではないというところが肝であります。ある日突然、強制的に変身させられてしまうというギミックが発動したれおん。マッド系の科学者である母による改造であるというのですが、しかし一体なにが目的なのか!? いや、全然大げさな話ではなく、単に母の趣味であるというんですね。この実にどうでもいい理由。可愛い男の子が突然女装状態に放り込まれて恥じらう様子を愛でようという、ただそれだけの理由が逆になんだか面白く、結構楽しみに読んでおりました。
面白いのは、れおんの恥じらう様子もそうなのですが、それ以外の要素、同居してる幼馴染みの女の子ささめがれおんを助けようと活躍する、というか振り回されてる様子も面白いし、れおんの友人ナツメが女装れおんを好きになってしまうところも面白かった。他にも、れおんを目の敵にする風紀委員桜園さくやとか、なかなかによいキャラクターが揃っていて、そのばたばたと騒いでいる様子が楽しかったのですね。
私が特に好きだったのは、ささめでありました。家が道場やってる関係で、やたら強い女の子。強い、凛々しい、頼りになる。そんなかっこいい系女の子であるのですが、この彼女がれおんの可愛さには弱いときているのですね。変身したれおんにドキドキする。背の小さく運動も苦手な彼が一生懸命背伸びし、じたばたする様に萌えて悶える。そんなささめがどうしようもなく可愛いくて、この普段はクールな女子が可愛いもの前にして、抗えないっていうのね、もう見ていてたまらん。といった具合に、私にとってこの漫画は、れおんの可愛さ、ささめの可愛さに悶えるという二段構えの萌え構造を持っていたのでした。もう、このふたりが本当によいの。
しかし、終盤、ちょっと急ぎ気味と思える状況は残念ではあったけれど、れおんを守るのは自分だと意識しているささめ、そしてそんなささめに釣り合う男になりたいというれおん、その関係が変わろうというところなど、なかなかに素敵でした。このふたりが、幼なじみ的状況から恋愛的状況に移行する、そういったストーリーが感じられて、あの時のれおんは可愛いだけでなく、立派に男の子だったなあと、ちょっとにやにやしてしまうのでした。ふたりの仲が進展することを期待していたんでしょうね。だから、このラストはすごく気にいっています。最後の最後こそは、ああした再びもとの騒動に投げ込まれるというものでありましたけど、でもその繰り返しに似た状況の中、れおんとささめの関係はちょっと違っちゃってるんだろうなって思うと、なんだか微笑ましくて、ほんと、このふたりのことが好きだったんだなってあらためて実感するのでありました。
- 桜みさき『魔法少女☆皇れおん(仮)』(まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
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