なんか、双葉社さんが粋な計らいしてくださったものですから、私の方でも、ÖYSTER、二日連続で取り上げたいと思います。どういうことかといいますと、以前『Nintendo Kids』という雑誌に連載されていた『武者武者道中ティラの介』が『光の大社員』と同時発売、なのだそうでして、私、この連載のこと知りませんでしたから、ちょっと興味があったのですね。ずっと以前にいったことがあったと思いますが、私は作品につくというよりも作家につくタイプのファンでして、この作家いいなと思ったら、過去作品に遡りたくなる性質があるんです。そんなわけで『ティラの介』は渡りに船でした。よし、なんだ、『風のタクト』も買っちゃおう!
『ティラの介』はキッズ向け、さらに恐竜のお侍さんが主人公ということで、やっぱりちょっと心配しまして、ほら、対象年齢ってものがあるじゃありませんか。私はわりと低年齢向けでも読んじゃいますが、けどやっぱり限界というのもあると思います。もしあまりに『ティラの介』が低年齢層を対象にしていたらば……。けど、これもやっぱり杞憂でしたね。後書き読めば「低年齢向け」に徹し切れなかった点は、こちらの力不足と認識不足
、反省してしておいでのようなのですが、そのおかげといっていいのでしょうか、私のようなとうの立ったものでも楽しく読める漫画に仕上がっていました。全体にはシンプルで楽しい活劇、私の知っていたÖYSTERではちょっと見られなかったようなのりがあって、意外というか若いというか、いや、これが少年向けってことなのかな? そして、やっぱり端々にちょっとシュールだったり、ひねったような、いや表現はあくまでストレートなんですけど、そういうおかしみもありまして、買ってよかった、読んでよかった、そういう実感の得られる漫画でした。
さて、ここからまた馬鹿な話。
結局、この人の描くヒロインっていうのはとてつもなく魅力的なんですよ。おきゃんで明朗、わりとしっかり者、ほんでもって結構ピュアなところもあって正義漢。いや、ヒロインに正義漢はないか。いや、ヒロインにかぎることでもないか。
この作者、ÖYSTERは、『光の大社員』の時から思っていたんですけど、真面目でまめでまっすぐな人なのかなあなんて、そんな感じがするんですが、さっぱりした気質っていうの? とか思ってたら実は人情派みたいな? いや勝手に思ってるんですけどね。でも、漫画の登場人物見てましたらさ、そんな風に感じてしまうんですよ。ヒロインのスズシロもそうだし、ティラの介もそうだわね。なんかみんないいやつそうで、けど真面目一辺倒のこんこんちきなんて風は一切なくて、人間臭さっていうか、人の完全じゃないってとこが出てるように感じられて、そんなところがすごくいいなあって。だから私がこの人の漫画、ひいてはこの作者を好きだと思うのは、漫画という表現をとおして感じられる人柄みたいなものもあってのことかなって思っています。
この、まっすぐで真面目そうで、けどお茶目だったりやんちゃだったりもするって雰囲気は、キッズ向けとしてはなかなかによかったんじゃないですか。余韻とかっていわれると私もよくわからないけど、安心して楽しんで帰ってこられるみたいな、そういう空気はすごくよかったと思います。
あ、そうそう、これいっとかなくちゃ。お蕎麦が食べたくなりました。明日のお昼はお蕎麦にしよう。
- ÖYSTER『武者武者道中ティラの介』(アクションコミックス) 東京:双葉社,2007年。
引用
- ÖYSTER『武者武者道中ティラの介』(東京:双葉社,2007年),125頁。
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