先日、AmazonがリリースしたKindleが刺戟となってか、あちこちで電子本及びその端末についての記事ないし話題が出ています。といっても、話題沸騰! とか、話題騒然! とかそういうことは一切なくて、ごく狭い領域での注目にとどまっているというのが実態であると思います。一般市井の人はKindleなんてまったくといっていいくらいに知らず、それ以前に、電子本? は? なにそれ、みたいな反応の方が強いように思うんです。それくらい日本においては電子本はマイナーであるということなのでしょう。そしてそれは、私にとってもそう変わるものではありません。
そもそも私はNintendo DSで本を一冊読んでみるまで、電子本というものを等閑視していた節が見られます。もし友人が『DS文学全集』に触れなければ、ふーん、てなもんで流していただろうし、だとしたら、わりと電子本もいけそうだという流れにはなっていなかった。そう。私の部屋が紙の束に侵食され、だんだん住むに適さなくなってきているという現実があったところへ、電子本もそんなに悪いもんじゃないという体験があって、俄然興味を強めたのです。
そんなわけで、日本における電子本の状況を眺めてみました。より厳密にいうと、今日本で買える電子本リーダーってどんなのだろうと思って調べてみたといったほうがいいでしょう。そして結果に愕然としました。な、なんと、今やWords Gearしか残っていないっていうではありませんか!? ごめん、愕然としたってのは嘘。むしろ、まだ電子本リーダーって売られてたんだっていうほうが正しい感想になると思います。だって、わたしはかつて電器店店頭でSONY LIBRIEやPanasonic ΣBookを見て、あんまりだなあって首ひねって帰ってきた人間なんです。一応興味はあったんです。ですが、その興味以上にわくわくさせるものではなかった。いや、思ったよりも悪くないかもとは思いました。特にLIBRIEにそういう感想を持って、あの電子ペーパーの感触といったらいいのかな、ちょっと反応は鈍いと思ったけど、品質としては悪くないと思ったんです。それよりも視認性の高さの方に興味はいって、将来的にすべてのデバイスの視認性があれくらいになればいいなあと、そんな風に思っていたんです。
けど、手を出さなかった。単純な話で、ストアがMacintoshに対応してないから、これらに手を出す可能性なんてはなっからゼロだったわけですが、そりゃもう当然頭っから等閑視するはずですよ。LIBRIEのストア、Timebook TownはWindows専用、シグマブックもWindowsのみ、Words Gearのストアである最強読書生活もWindowsオンリー。まあ別に文句はないんです。Macintoshを取り巻く環境について、すべてわかったうえでこれを選んでいるわけですから。けど、これは逆にこうした読書端末を検討するしない以前の環境であるわけですから、どこそこが読書端末を出した、ふーん、でもどうせWindowsなんでしょ? 以上。もとより話が広がるはずなんてないんです。
Kindleのメリットは、本の購入にPCが不要というところじゃないかなんていっていましたが、それは上のような状況も考えてのことだったんです。きっとAmazonのことだから、両OSには対応するだろうと考えていた、私の視野の狭さですよ。Kindleは別端末を必要とせず、それだけで完結する。こりゃ、PCを持たない人、苦手な人でも取りこめるかも知れない(Amazonの顧客にPC持ってない人がいるかは疑問ですが)。WinだMacだとつまらないこといって、マーケット範囲を狭めるのではなくて、PCに積極的に関与しない層も取りこめる可能性がある。例えば携帯電話メインの顧客など。ま、携帯メインの人は携帯を読書端末として使うんだと思いますが、まあ可能性としてね。より広い裾野を見据えているのがKindleのサービスなんだと思います。
今回、Kindleのラインナップに漫画があったことがちょっと意外で、私というのは発想が貧困だから、漫画を電子本リーダーで読む可能性について、思いを至らせていなかったってことなんですが、けれどそうなるとカラー対応していて欲しいなあと思うのが人情だと思います。それに、Kindleをはじめとする電子本リーダーは漫画を読む際にちょっと不都合があって、それは見開きという表現をサポートできないんですよね。唯一できそうなのはシグマブックですが、あれはじめてさわってみたときの感想は、わざわざ見開きにして、本のイメージを追わなくてもいいのになってものだったんですが(つまりこの時点の私は、漫画を読む可能性を考慮していない)、だって重いしさ(約520g)、持ちにくくなるしさ、ってわけでLIBRIEの方がいいかもって話であったりもしたのです。
私はKindleには、LIBRIEっぽさを感じているんですが、その実際の触感はどうなのか、ちょっと触れてみたいところです。データさえカラーならば表示はモノクロでもいいかなんて思っていて、けど著作権云々の絡みから、購入時に用いたKindleしか使えません、コンピュータに持ち込んで見るなんてもってのほか! とかなら、私はきっと手を出さないな。とにかく、利用者にとっての便利があるなら欲しい。そうでないなら、くれるといわれてもいらないってところだと思います。いずれにしても、電子本リーダーは発展途上の過渡期であるなという感じは強く、だから完全無欠の読書端末よりも実用に足る電脳メガネを待ったほうがいいのかなあと、いろんなことを思うのです。
2 件のコメント:
Apple の iPod touch みたいのが出ちゃうとなあ、ある程度汎用なのが欲しくなっちゃいませんか?、テキストを無線LAN で送り込んで見たりとか、web を閲覧して見たくなったりとか、それでいて見やすくてコンパクトで安ければ言う事ないのですが。
そんなこと言ってるからいつまでたっても普及しないんですかねえ、iPod touch には結構心魅かれて、でもさすがに小さいかなあとか思ったんですが。
汎用機がいいか、専用機がいいか、迷うところですね。実際私には、一台でなんでもできちゃう機械への憧れがあったりするのですが、けど実用を思うと、抜きんでてよいなら専用でかまわない派です。
読書端末には、軽く、壊れにくく、反応はクイックで視認性高いがあればいいかなと思っています。無線LANでデータを送り込めるというのは、今ならBluetoothかなあ。テキストやHTML、PDFくらいはデフォルトで読めて欲しいものだと思いますし、今回も書くつもりで書きわすれてしまっていますが、縦書き表示に対応して欲しいですし、とこういうふうに汎用性への傾きみたいなのは出てきますが、これで音楽聴けたりムービー見れたりする必要はないと思っています。
理想は本のWalkmanだと思います(カセットテープ時代のね)。単機能、高品質。で、電子本が汎用データになればいい。端末は好きに選べる、それが理想かなあと。もちろんここで、iPod touchを選ぶ人がいてもいいわけです。
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