私のCDラックは少しばかり混沌としていて、けれどこの間iTunesに手持ちのCDをすべて読み込んでみたおかげで、随分見通しがよくなったのでした。さて、その読み込み作業によって発掘されたCDがあったことは、以前にもいいましたとおりでありまして、で、そのクラシックジャンルに紛れ込んでいた非クラシックアルバムというのが『Add It Up (1981-1993)』。ジェズアルドで書いたときにはこれをメタルだなんていってましたが、おおっとこいつは思い違い。CDDBで取得したデータによると、この曲はAlternative & Punkに分類されて、ところが私このジャンルがどういうジャンルなのか全然ピンとこないときています。
発売元であるポリドールによればロックなんだそうですが、帯のあおり文句をちょっと引用しますと、
ミルウォーキーの変わり者バンド、ヴァイオレント・ファムズのベスト・アルバム。
バンド初期のアヴァンギャルドでパンキッシュな曲や彼ら得意のカントリー・ゴスペル調の曲、そしてユーモアと皮肉が込められた歌詞に熱狂的なライヴ。このアルバムでヴァイオレント・ファムズのカルト的な人気の秘密を知ろう。
だなんて書いてありましてね、なんだかものすごくマニアックなグループのようでありまして、実際これはこのアルバムを聞いてみればわかることであると思います。
なんといったらいいのか、うまさとか洗練とかを目指していないようなんです。なんか冗談みたいな感じで、気楽にやっつけみたいな感じでやってるかと思えば、なんか悪のりしてナンセンスを追求してるみたいのもあるんですが、正直私はこの人たちの音楽をつかみあぐねています。いや、だってさ、気付いたらCDラックに入っていたアルバムなんですよ。いつ買ったかどころか、なんで買ったかさえ覚えていないし、外盤なら投げ売りセールで買ったんだろうというところが、日本盤ですからなおさら入手の意図が不明です。包装ははいであったから、一度は聴いたのかも知れませんが、その聴いたという印象さえすっかり抜け落ちて、本当に聴いたんだかも疑わしい。本当に謎のアルバムなのであります。
iTunesに取り込む際、ジャケットだけ見て、多分一生聴くことはないだろう。でもまあ、せっかくだからiTunesに取り込んでおいて、シャッフルのにぎわいにでもなればいいだろうとか思っていたんですが、ああ、この私の見識違い。このバンド、かなりいかした音楽をやっていて、私はすっかりこの変わり者バンドに参ってしまったのでありました。
iTunesでのパーティーシャッフル中に、このアルバムから「ジーザス・ウォーキング・オン・ザ・ウォーター」が選ばれまして、思い掛けないのりの思い掛けない音楽におおっと思って、曲名を確認しないではおられませんでした。Jesus Walking on the Water。素晴らしい曲だと思いました。なんか悪のり調のカントリーソングみたいなよくわからん曲だったのですが、頭から聞き直してみて、これがあの偶然発掘されたアルバムであるとわかって、ちゃんとしたオーディオ装置を通して聴いて、こいつはいいぜ! と思ったのでした。
でも、正直一般うけはしない音楽だとは思う。帯にある変わり者バンド
という称号は伊達ではないと思います。でも、その変わり者な感じが私にはすごくクールだったんですね。
だから、もし今この文章読んでるあんたに変わり者の自覚があるなら、是非ともおすすめだ。
引用
- ヴァイオレント・ファムズ『Add It Up (1981-1993)』の帯 ポリドール:スラッシュ POCD-1129,CD,1993年。
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