2005年4月19日火曜日

あの素晴らしいフォークをもう一度 — 紙ふうせんのギター弾き語り入門

 買おうかな、どうしようかな、やめようかなと迷いながら番組だけはビデオに録っていて、けれど思い切って買うことに決めました。『あの素晴らしいフォークをもう一度』は、現在NHK趣味悠々にて放送されている趣味のギター講座でして、そのタイトルからも明らかであるように、かつてのフォークムーブメントを体験した世代に向けられた番組です。講師が紙ふうせんというのもそんな感じでありますし、毎回登場して話をするゲストもそんな感じ。とりあえず番組を見た感じでは、若い世代には訴えないような気がします。

私がこのテキストを買おうかどうか迷ったのはなんでかといいますと、テキストの質としてはかなり前のNHK趣味百科時代の『アコースティックギター入門』のほうがよかったからなんですね。このときの講師は石川鷹彦と加藤和彦で、収録されている曲のバリエーションも広く、収録されたインタビューや名盤紹介も読み物として優れていました。

けど、じゃあ、なんで文句言いながらでも今回のテキストも買っちまったのさ。ええ、それは収録曲に魅力が感じられたからなんですね。

今回の収録曲は以下の通りです。

  • 友よ
  • 若者たち
  • 翼をください
  • 遠い世界に
  • あの素晴らしい愛をもう一度
  • 冬が来る前に
  • 竹田の子守歌
  • 悲しくてやりきれない
  • Puff (The Magic Dragon)
  • 紙風船

このうち、『あの素晴らしい愛をもう一度』までが番組で取り上げられるもの、『冬が来る前に』以降は参考曲とあります。

さて、ではどの曲が私にとって魅力的だったのでしょうか。

『Puff (The Magic Dragon)』だったんですね。ご存じですか、Peter, Paul & Mary。アメリカンフォークの風が全世界に広がりを持って受け入れられた時代の立役者がPPMでした。といっても、もちろん私はその時代を知りませんから、後から仕入れた知識なんですけどね。

ギターに興味を持って色々調べたりしてみれば、PPMの名はいたるところに散見されて、当時どれほど人気があったかがわかります。『雨をよごしたのは誰』 — を歌ったのはジョーン・バエズか。PPMは『虹と共に消えた恋』とか『花はどこへ行った』とかですね。そして『パフ』人気であったと聞きます。

私の手持ち楽譜にあるPPMナンバーは『虹と共に消えた恋』と『井戸端の女』で、できればその他のPPM曲の楽譜も欲しいと思っていたのですが、たまたま手にしてみたテキストに思いがけず『パフ』。あ、こりゃ買っとけみたいな感じに思ったのでした。

でも、すぐには買わなかったんですけどね。ちょっと躊躇して、迷って、というのもPPMナンバーなら、それだけでがっちり一冊の本として出版されたりもしているので、PPMに取り組みたいならそういうのを買うのが一番でしょう。

なので、私の背を押したもう一曲を紹介しますと、それが『悲しくてやりきれない』。私はこの曲が大好きで、もともとは『イムジン川』だったんだそうですね。ところが『イムジン川』が発禁の憂き目に遭って、その悲しさをもとに生み出されたのが『悲しくてやりきれない』。『イムジン川』のメロディを逆にたどってできたという逸話を以前テレビで観たことがありました。

ところで、上のようなことをいってると、残りの曲は好きじゃないのかみたいな感じに思えますが、もちろんそうじゃないんですよ。『若者たち』は子供の頃の愛唱歌でありました(コーラスやってたのさ)し、『翼をください』、『あの素晴らしい愛をもう一度』、『冬が来る前に』はちゃんと楽譜をおさえています。

そんなわけで、結局フォーク好きの私にとっては、うってつけの番組だったといえますね。そりゃテキストも買っちまうわけです。

ところで、番組の冒頭で大勢の若者が輪になって、何本ものギターを伴奏に歌う映像が流されるのですが、当時のフォークムーブメントというのは本当にすごかったんだなと、その熱気には驚かされました。当時青年だったような人は、今でもギターを手にすればそこそこ弾いたりしまして、実に侮れない世代なのでありますよ。

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