2015年7月6日月曜日

はなしはそれからだ

 ゲームがきっかけとなってその存在を知った植田真梨恵。最初に好きになったのは『彼に守ってほしい10のこと』だったとは、以前にも書きましたとおりです。最近のことです、前の記事の最後にいってた、他の曲も、少しずつ買っていこうと思っています、こいつを実行しはじめまして、とりあえず一番に気に入っている植田真梨恵から買いはじめました。iTunes Storeにて、ゲームに使われてる曲をとりあえずひととおり。そして、当然、アルバムなら丸ごと購入する。ええ、私は古いタイプのリスナーなんです。

アルバムというのは、ちょっとドキドキするものです。その1枚に、どのような世界を構築しようとしているのか、そうした楽しみもあり、また同時に、気に入る曲が目当ての1曲だけだったらどうしよう、そんな不安もあり。けれど『はなしはそれからだ』に関しては問題なし、聴きはじめればそうした不安も消えて、最後まで楽しみを持続したまま聴くことができたんですね。

ひととおり聴いてみて、最初の感想は、完成度の高いアルバムだなあ、でした。独特のメロディアスな曲調にシンガーの個性が乗って、聴いていてすごく高揚する。また、こうしたテキストがメロディに乗るんだな、そうしたこと思わせられる瞬間も多く、実に刺激的。これは当たりだった。『SHOW BY ROCK!!』というゲームは、植田真梨恵という歌手を知ることができた、それだけでも充分に価値のある経験であった、そう思わされたのでした。

けど、この人はこれからが面白い。というのはですね、『センチメンタルなリズム』も一緒に買っていたんです。『はなしはそれからだ』を聴き終えて、じゃあ次は『センチメンタルなリズム』を、と思ってかけてみたら、これがより一層に刺激的で、うわ、なんだこれ、ものすごい!

私がこれまでに聴いていたのはミニアルバムでいいのかな? 『彼に守ってほしい10のこと』に収録されていた3曲だけでした。どれも穏当な曲調で、— 穏当なんていっちゃうのは『センチメンタルなリズム』を聴いてしまったからなんですが、それでも曲が1番2番で、歌詞にともなってメロディが当たり前のように変化したり、そうしたところは聴いて充分に理解できたと思っていたんですね。それは『はなしはそれからだ』でも同様で、1番、曲のさわりだけを聴いてわかったつもりになっていたら不充分だ、そう感じさせてくれたものでしたが、『センチメンタルなリズム』に収録された曲となると、曲中でテンポは普通に変化し、一気に疾走感増したかと思ったら、拍子だって変わる、拍子の変化にともない曲調だって動く、歌詞もメロディも自在、といっていいんだと思う、このタイミングでこのフレーズがくるんだ! 予想をはずした展開に幻惑されるようにして、いやもう、これ、ものすごい。なんというアグレッシブさだろう。心の、身の内にある、表現したいという気持ちが、意思が、音楽のかたちをとって溢れだしてきたみたいな曲じゃないか。

ちょっとアルバムの解説もろもろ見てみれば、『はなしはそれからだ』はメジャー移行後、はじめてリリースされたアルバムだったんですね。なるほど、だからある程度の聴きやすさというのが考慮されたのかな? 対しインディーズ時代のものは表現こそが全面に押し出されていて、と、簡単にそういっていいものかは新参の私にはわかりません。けれど、『センチメンタルなリズム』に触れてみれば、この時代のもの、もっと知りたい、そうした気持ちが駆動されてやまないんです。ええ、これからしばらく、少しずつ、この人の過去作を探索していくことになりそうですよ。

引用

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